2021-03-03

「関西には潜在力がある。あとは実行あるのみ!」覚悟を共有した「関西財界セミナー」

オンライン開催での開会式で挨拶をする松本正義・関西経済連合会会長


発足10年の「関西広域連合」

 第3分科会では国と地方のあり方を議論した。発足10年を迎えた「関西広域連合」に期待を求める声が多く聞かれた。「関西がもっと一つになるべきという考えは一致している。関西広域連合をプラットフォームとして話し合う必要がある」(京都信用金庫理事長の榊田隆之氏)「関西広域連合が司令塔になり、国に先んじて行政のデジタル化を目指したい。防災データを一括管理できれば、大規模災害の避難経路も示せる」(NTT西日本相談役の村尾和俊氏)

 様々な提言が出たが、関西の経済人の間で共通しているのが「危機下にあっても高揚感がある」(深野氏)こと。その背景には2022年の生涯スポーツの祭典「ワールドマスターズ ゲームズ」と25年の「大阪・関西万博」という世界的なイベントが控えていることが挙げられる。

 川崎重工業顧問の牧村実氏は万博について「完全自動運転車や空飛ぶクルマ、ドローンなど次世代モビリティを体験してもらえる場になる」と語り、データの連携や活用を前提とした新たな都市OS(基本ソフト)の構築に向けた契機になると話す。

 さらに世界中が脱炭素に向かう中で、JR大阪駅北側に大規模な〝緑〟が出現する。24年に開業予定の「うめきた2期」だ。イベントが開催されれば、参加者の行動履歴や血圧データなどを活用し、新たな健康・医療の技術の開発へと振り向けられる。

 また、政府が集中支援する「スタートアップ・エコシステムグローバル拠点都市」に関西3府県が選定されたことで、ベンチャー企業と大企業のコラボレーションも期待されるところだ。

 誰も経験したことがない危機に直面する日本。関西が「コロナ禍の先に見える未来」を全国でも先んじて見せられるか。「もっと潜在力を発揮できるはず」─。そんな思いを共有したコロナ禍での関西財界セミナーであった。


Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事