2023-08-03

ENEOSホールディングス社長・齊藤猛「エネルギー・素材の安定供給と脱炭素社会の実現に貢献していく」

齊藤猛・ENEOSホールディングス社長

資本の効率性と責任を明確にする


 ─ ENEOSグループは2025年度までの「第3次中期経営計画」を発表しました。〝エネルギートランジション(移行)〟が一つのキーワードかと思うんですが、改めて、計画の骨子を聞かせてください。

 齊藤 計画を策定するにあたり、「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)社会の実現」との両立に向けて挑戦することを、新たな長期ビジョンとして定めました。

 この長期ビジョン実現に向け、第3次中期経営計画の基本方針として3つの柱、すなわち、「確かな収益の礎の確立」、「エネルギートランジションの実現に向けた取り組みの加速」、「経営基盤の強化」を掲げました。

 まずは基盤事業の収益を確立させます。われわれは1950年頃に製油所を稼働させて以降、エネルギーの安定供給を担っていますが、ここで果たしてきた役割は今も変わりません。

 エネルギー・素材の安定供給という責任を果たしつつ、石油精製販売業プラス電気プラス素材事業の収益性向上を図ります。そして、ここで得たキャッシュを原資として、エネルギートランジションを加速していきます。

 ─ 足元の安定供給と将来的な脱炭素への移行を果たしていくと。

 齊藤 はい。この前提となる社会シナリオとして、2040年にはガソリンの需要が半減し、社会全体のカーボンニュートラルへの動きが加速すると想定しています。この社会シナリオに基づき、ロードマップを作成しました。

 石油の需要は減退するものの安定供給の責任を果たし、将来へ向けてはエネルギートランジション実現への取り組みを加速させます。具体的には、再生可能エネルギーやSAF(持続可能な航空燃料)、合成燃料、水素など、当社が強みを有する事業領域に取り組んでいきます。

 ただ、大事なのはトランジションの時間軸が、われわれの予想より進んでいるのか? 遅れているのか? ということ。例えば、水素への期待が高まっているとはいえ、経済合理性を考えると、化石エネルギーの需要はまだあることから、水素の普及がどの時点で、どの程度進むのかの判断は難しいところです。

 また、石油需要のピークアウトはいつ頃なのか? 次はどのエネルギーが求められるのか? そして、それは電気なのか? 水素なのか? 合成燃料なのか? また、日本と海外でも事情は変わってきます。ですから、今後6年間ほどは、トランジションに向けた踊り場であり、仕込みの時期であると考えています。

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