2023-08-21

【ヤマト運輸】IoT電球を使って自治体とも連携する「見守りサービス」

IoT電球の取り付けまでヤマト運輸のスタッフが行う



生活関連支援の拠点が発端

 もともとヤマトは16年から家事・買い物のサポートといった生活関連支援を行う「ネコサポステーション」を展開。その活動の中で、川野氏は高齢者の孤独死や自治体、民生委員の職員不足などから来る地域の見守り体制の弱体化といった社会課題が浮き彫りになっていたことに直面し、宅急便のネットワークや培ってきた地域住民との信頼関係といった経営資源を活用した見守りサービスを着想した。

 現時点での申込数は9500件超。40代から60代の子供が親のために申し込むケースが目立つという。このサービスで体調が悪くなった高齢者を見つけた事例もある。さらに24市区町村から見守りサービスの業務委託も受けている。「異変をいち早く見つける」(同)ことが孤独死防止の第一歩になる。

 また、川野氏の想定を超えるニーズも出てきた。不動産業界の賃貸物件のオーナーや管理会社からのニーズだ。一人暮らしの高齢者に物件を貸すときにヤマトの見守りサービスを申し込んでもらうことで、異変をいち早く見つけることができる。

 もちろん、このサービスがヤマトグループ全体を支える事業に育つまでには、それ相応の時間はかかる。高齢社会の到来に直面する中、自社の経営資源を有効に活用しながら社会課題を解決し、収益も上げていく─。物流企業であるヤマトの新たな試みと言えるだろう。

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