2023-06-09

パナソニック再生の道筋をつけた今、社長・楠見雄規に問われる「収益力」

楠見雄規・パナソニック ホールディングス社長グループCEO


営業利益率や時価総額ではソニーの後塵を拝する状況



 パナソニックHDの2023年3月期の業績は、売上高8兆3789億円(前年同期比13.4%)、営業利益2885億円(同19.3%減)、純利益2805億円(同5.7%増)。楠見氏が競争力強化と位置付けた2年間が経ったが、売上高営業利益率は3.4%にとどまった。

 ソニーグループの売上高営業利益率は10.5%、日立製作所の6.9%(売上収益調整後利益率)に比べて、まだまだ低い。時価総額(5月26日時点)もソニーグループの16兆8543億円に対し、パナソニックHDは3兆5362億円にすぎない。

 もっとも、24年3月期は純利益が3500億円(同31.8億円)と、5年ぶりの過去最高益となる見通し。ただ、これは車載電池の工場が米インフレ抑制法(IRA)の補助金支給対象となることで、純利益を1千億円押し上げるという。

「そもそもの収益性が競合に比べて低い状態では、株価も上がってこない。それも含めて、いかに収益性を高めていくかに集中する。競争力強化と言い続けているのも、結果として収益性が付いていくべきものであると考えているから」(楠見氏)

 市場で「ここ数年、パナソニックの元気がない」という声を拭うことができないのは、収益力が他社に比べて劣っているからだ。稼ぐ力を取り戻すには、まだまだ改革も道半ばである。

 この2年間の改革の手応えについて、「例えば、リードタイムを半減したとか、改革ができているところはできているけど、同じことが全ての拠点でできていたわけではない。一つでもできた拠点があるのであれば、それを広めていく。やるべきことをやってここまで来たが、(改革は)終わりでもない。理想に向けてやっていこうという機運が高まり、現場が変わっていけばいい」と語る楠見氏。

 同社の課題は一つひとつの事業の収益力をいかに高めるかに尽きる。持ち株会社制への移行で仕組みづくりを整えた今、グループの潜在力を掘り起こすことはできるのか。楠見氏の覚悟と実行力が問われている。

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