2023-04-25

【農林水産省】英国のTPP加入で合意 コメ関税撤廃が輸出に追い風

日本やオーストラリアなど、環太平洋経済連携協定(TPP)参加国は3月31日、閣僚級会合をオンラインで開き、英国の加入で大筋合意した。18年の協定発効後の新規加入は初めて。農業分野では、日本から英国へ出荷するコメの関税撤廃が固まり、輸出拡大に追い風となりそうだ。

 英国に対するコメの輸出量は年間500㌧程度で、欧州の中でも最大のマーケットだ。和食ブームが英国で続く中、日本のコメ農家にとっては販路拡大につながる。野村哲郎・農林水産相は同日の閣議後記者会見で、コメの関税撤廃を勝ち取ったことについて、「わが国の国益にかなう内容だ」と指摘した。

 これまでの通商交渉では、日本は常に農業市場の開放を迫られる歴史を繰り返してきた。ただ、今回は現行のTPPや21年に発効した日英経済連携協定(EPA)の範囲内におさまった。TPPを担当する後藤茂之・経済再生担当相は「わが国が譲歩したものは一切ない」と言い切った。

 日本の工業品を巡っては、日英EPAで関税撤廃を合意した品目の一部で時期の前倒しを英国が認めた。

 TPPは当初12カ国で署名したが、保護主義を唱えるトランプ米大統領が17年1月に協定離脱を表明。その後、再交渉を経て、現在の11カ国が参加する形となった。米国はTPPに代わり、インド太平洋経済枠組み(IPEF)を推進し、影響力を強める中国に対抗する。

 英国との交渉に区切りがついたことで、今後の焦点は21年9月に加入を申請した中国と台湾への対応に移る。ただ、中国は国有企業を補助金で優遇しているとされるなど、TPPのルールは満たしていないため、交渉入りが難しいのが現状だ。

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