2023-01-17

 三菱UFJFG・亀澤宏規の「金融プラットフォーム」戦略 「金融の枠を広げ、超えていく」

亀澤宏規・三菱UFJフィナンシャル・グループ社長




銀行のあり方はどう変わっていく?


 新たな事業を生み出すと同時に、これまでグループの根幹であり続けてきた「銀行」の役割をどう考えるかも重要になる。これからの時代の銀行のあり方をどう考えているのか。

「我々の一番の強みはお客様の基盤、ネットワーク。それをいかに様々な形にしていくか」と亀澤氏。

 その中で亀澤氏の考える一つの方向性が、銀行機能の「モジュール化」。モジュール化とは、全体を機能単位に分割した上で再定義すること。

 従来は、顧客が銀行の支店で申込書を書き、預金を預けたり、ローンを組むといった一連の行動をする「ワンパッケージ」での機能提供だった。

 それを今は「決済」や「口座管理」といった機能を従来以上に磨き上げた上で、それをモジュールとして提供するというやり方に変え始めている。

 それが一つ、形になっているのがNTTドコモとの提携で展開している「dスマートバンク」。MUFGは口座開設、インターネットバンキング機能を提供し、顧客接点はドコモのアプリという形。「表」に出るのはドコモ、「裏」で機能を提供しているのはMUFGという役割分担。

「従来、我々のお客様との接点は店舗だったが、今はインターネットバンクもある。今後はANAさんのメタバース空間にも出店する。オンラインとオフラインがどうつながるかという全体像の中で、リアル店舗もモジュールとしてどこに置くかという発想に変わっていく」

 銀行として「タテ」で全ての機能を提供するのではなく、モジュール化された銀行機能を「ヨコ」に展開し、表なり裏なり、様々な場所に存在しているという世界に変わっていく。これはまさに「プラットフォーマー」の発想と言っていい。

「皆さんの頭の中には、銀行のイメージがあると思う。それを今後はモジュール化して、様々な場所の裏側に、実は入っているという世界ができていくのがバンキング機能のあり方ではないか。よく『未来の銀行像』を問われるが、我々からすると『未来のMUFG』、『未来の金融』という形で捉えている」(亀澤氏)

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