データを活用して疾病啓発をやろう!
「健康習慣は継続することが大事だけど、なかなか続けることが難しい。しかし、通常のアプリは使い続けて3カ月で継続率は10%くらいに落ちるものなのに、当社のアプリの利用継続率は6割ぐらいある。当社がゲームで培ってきた楽しみのノウハウを医療などの社会課題の領域に転用することができれば、うまくいくのではないか」
こう語るのは、ディー・エヌ・エー(DeNA)子会社のDeSCヘルスケア データユーティライゼーション部部長の幡鎌暁子氏。
ゲームやプロ野球など、エンターテインメント企業としてのイメージが定着しているDeNA。だが、近年は〝エンターテインメントの追求と社会課題の解決〟の両軸に全力で取り組むと宣言。社会課題解決の一環として、ヘルスケア分野の強化に乗り出している。
同社がヘルスケア分野に参入したのは2014年から。
この頃、創業者(現会長)・南場智子氏の夫が闘病生活をしていた。ここで南場氏が考えたのが、一度病気になってしまうと、そこから治すのは非常に難しい。だから、病気になる前に健康行動を促進したり、ケアをしたりして健康寿命を延ばしていくことが大切なのではないかということ。そうした自らの体験を踏まえて、同社はヘルスケア事業への参画を決めた。
その後、一般消費者向け遺伝子検査サービス『MYCODE』を皮切りに、ヘルスケアエンターテインメントアプリ『kencom』、高齢者運転免許更新時の認知機能検査『MENKYO』などに事業を拡大。
例えば、『kencom』は、その日ユーザーが歩いた歩数や健康診断の結果などの健康情報をスマートフォンで確認できる。健診結果をもとにリスクの高い疾患や健康状態の変化を見ることができ、楽しみながら健康になろうという仕組みだ。
「アプリと言うと、高齢者には無理なんじゃないの? と思われるかもしれないが、ユーザーのボリュームゾーンは60~70代。もともとゲームには何となく日常生活に取り入れて習慣化してしまう技術というかノウハウのようなものがあるので、ゲーム事業で培ったものが、うまくヘルスケア分野にも転用できていると思う」(幡鎌氏)