―― それは大変な増え方ですね。
染谷 これは企業側の大学に対する期待が10倍になり、われわれに課された宿題も10倍になったのだと受け止めています。
困っている課題を一緒に解決しようというパートナーとして大学という存在が、企業側から受け入れられつつあるということは、ここ数年、一貫して感じていることです。
―― この「一緒に」というのがポイントですね。
染谷 仰る通りです。この「一緒にやろう」というのが重要なところで、わたしはいわゆる役割分担ではなく、共に手をつないで並走していくというところが肝心だと思っています。
今までは、例えば、大学が設計図を描いて、それを企業側が設計図を基にして商品をつくるという分担でした。オーバーラップする部分がすごく少なかったわけです。しかし、今はこのオーバーラップする部分が増えていて、お互いの場所を人が行き来したり、大学の中に企業が入ってきているというのは最近の傾向だと思います。
とにかく、今は課題が複雑になっています。ですから、企業側も自分の中に全てを貯め込むのではなく、大学のフレッシュなアイデアを活用するようになってきた。これは日本が変わる原動力になり得るほど重要な変化だと思います。