2022-09-01

金融政策に手詰まり感強まる日銀、次期総裁人事を含めた今後は?

日本銀行本店



 日本にもスタグフレーションが波及した場合、日銀はどう対応するのか。インフレを抑える利上げも、景気を下支えする追加緩和もいずれも困難な中、金融政策の手詰まり感が極まりかねないのが実態。

「岸田首相はアベノミクスを丸々踏襲するつもりはなく、日銀の金融政策も総裁が交代すれば修正される」(官邸筋)との観測が流れる中、永田町や霞が関では、次期総裁人事の行方に関心が集中している。

 有力候補とされる雨宮正佳副総裁と、中曽宏前副総裁の2氏はいずれも日銀生え抜きだが、持ち味やバックグラウンドが異なり、どちらが総裁に就くかで金融政策の進路は変わりそうだ。

 雨宮氏は企画局畑のプリンスで「黒田緩和の知恵袋となってきた経緯から複雑化した金融政策の構造を熟知している」(有力OB)のが強み。一方、中曽氏はバブル崩壊後の金融危機の処理を最前線で担ったキャリアを持つほか、国際金融にも精通した「オールラウンドプレイヤー」(中堅幹部)。5月には40年に及ぶ日銀マンとしての歩みを振り返った大著『最後の防衛線危機と日本銀行』を上梓した。

 このほか、財務官―アジア開発銀行総裁という黒田氏と同じキャリアを歩んだ浅川雅嗣氏も「ダークホース」として取り沙汰される。浅川氏は安倍元首相亡き後、政府・与党内で影響力を高めた麻生太郎自民党副総裁と親密で、8月4日には官邸を訪れ、岸田首相と面会している。

「市場は死んだ」とは某経済人の言葉。世界的に不況局面に陥り、金融政策の手がない中、「ポリシーミックス」、つまり財政出動で埋める他ない。GDP(国内総生産)の2倍の負債を抱える日本だが、今は緊急事態。

 異次元緩和策の長期化で市場機能が麻痺した中では、ポスト黒田に誰が就くにせよ、金融政策運営がいばらの道となることだけは確かだ。

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