2022-07-12

主力市場の北米で広報業務助言 【トヨタ】の元女性外国人役員が復帰

元女性外国人役員を復帰させたトヨタ自動車(写真は本社)

7年前、トヨタ自動車社長の豊田章男氏はこう語っていた。「直属の部下である役員も従業員も私にとって子供のような存在。守るのも、迷惑をかけたら謝るのも親の責任」。

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 2015年、同社の常務役員で広報を所管する「チーフ・コミュニケーション・オフィサー」を務めていたジュリー・ハンプ氏が麻薬取締法の容疑で警視庁に逮捕された。同社は緊急記者会見を開き、豊田氏も出席した。

 そんなハンプ氏がトヨタに復帰した。復帰先はトヨタの北米事業を統括する北米トヨタ。ハンプ氏は同社の「シニアメディアアドバイザー」に就任し、グローバルでの広報業務を支える役割を担うと見られる。トヨタ関係者は「広報業務に助言をしてもらう」と語る。

 ハンプ氏と言えば、当時、トヨタの「初の女性外国人役員」として注目を浴びた人物だ。米ゼネラルモーターズ(GM)に入社し、ペプシコを経てトヨタモーターノースアメリカに入社して広報を担当。09年のリコール問題後に傷んだトヨタのイメージ回復に努めてきた。

 豊田氏もハンプ氏の抜擢については、「真のグローバル企業への第一歩。大きな決断だった」と語っている。当時ハンプ氏は「10分間ミーティング」と称して、スタッフと対話の時間を持ち、英語が話せないメンバーとも積極的にコミュニケーションをしていたという。

 その後、ハンプ氏は逮捕されて常務役員を辞任したが、東京地検は起訴猶予処分。米国では手軽に手に入るが、日本では処方箋なしの保有が禁じられている薬を使っていたのだ。

 同氏の業務範囲は主に北米になると見られるが、トヨタにとって北米は世界販売台数の約3割を占める重要市場だ。しかも、21年の販売台数ではGMを抜いて初の首位に立った。その勢いは継続しており、今1―3月(第1四半期)の北米販売台数でもGMを抜く。ある自動車
業界関係者は「豊田氏の温情人事とも見える」と語る。

 いずれにせよ、米国人であるハンプ氏が北米という地域で培って来た腕を振るうことができるか注目されるところだ。

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