2022-06-18

【国土交通省】地方の赤字路線を巡って、議連が運賃見直しなどを提言

人口減少や新型コロナウイルスの影響を受け、地域の公共交通には赤字路線も多い。こうした状況を踏まえ、地域公共交通網維持を目指す自民党有志の議員連盟は「国も主体的に関与する協議の仕組みの創設」などを求める政府や党政務調査会への提言をまとめた。

 提言では、地域の実情に応じた柔軟な運賃設定を認める制度見直しや、自治体などが鉄道施設を保有し、事業者が運行する「上下分離方式」の導入などに必要な財政支援も求めた。議連の宮沢洋一会長(同党税制調査会長)らは首相官邸で岸田文雄首相と面会し、提言書を手渡した。首相は「大変重要な問題なので、しっかり取り組む」と応じたという。

 提言の策定に関わったある議連幹部は「現在、鉄道事業者や沿線自治体など関係者が建設的な議論ができているとは言い難い」と指摘し、「地域ごとに事情が異なるので、まずは関係者が一堂に会して話し合い、結論を出すことが重要」と強調した。

 国土交通省は2月、利用者の減少が続く鉄道の地方路線の在り方を見直すため、有識者会議(座長・竹内健蔵東京女子大教授)を立ち上げた。既にバスなど他の交通機関への転換に対する補助や、事業者と自治体の協議の場の導入などの検討に着手しており、今後方向性をまとめ、23年度予算概算要求に関連経費を盛り込む方針。

 議連の提言について、ある国交省幹部も「これまで地域で公共交通をどうするか、本格的に議論することがなかった。同じ問題意識は持っている」と語る。その上で「赤字路線の存続や廃止ありきではなく、地域ごとに話し合ってもらいたい。国としても協議する場の創設に汗を流していく」と話していた。

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