―― そうなると、また、プーチン大統領を怒らせたり、変な口実を与えたりすることになりませんか。
兼原 プーチン大統領はそう考えるかもしれませんね。しかし、欧米人というのは、国家として戦争に参加しなければ、武器支援を普通にやるんですよ。中立法規でも民間の武器売却は禁止されていません。そこははっきり分けて考えていますね。
―― そこは割り切っていると。
兼原 ええ。だから、弾を売ってやるとか、武器を供与するという話と、自分が国家として正規軍を投入して攻めにいくのとでは、全然意味合いが違うわけです。結局、武器を売ったり供与したりすること自体は戦争ではないからということで割り切っている。
もちろん、武器を搬入するときに攻撃されるかもしれませんけど、それはビジネスリスクという感じなんです。でも、国家として参戦すると、それは国家同士の殺し合いだから、そこから次元が変わるという感覚です。
―― 肝心の日本はどういうふうに動けばいいのか。われわれは尖閣や台湾などのリスクを抱えているわけですが。
兼原 日本は西側にぴったりくっついて動くだけです。こういう白黒がはっきりした戦争の時は、自分たちもちゃんと旗をあげないといけない。他人の喧嘩は、小競り合いには関わりたくないというのが普通ですが、こういう白昼強盗のような場合には、国際社会の風向きはがらりと変わります。どっちの旗をあげているかが分からないというのはダメなんです。
また、人間というのはお互いに貸し借りで動いている。もしも台湾で有事があったら、われわれも西側の雄である欧州諸国に支援を要請するわけです。欧州の国が困っている時に手を差し伸べないで、自分が困っている時だけ助けてくれなどというような身勝手は通用しません。
続きは本誌で