2022-04-14

【ウクライナ危機】国際秩序、世界の政治経済はどうなるか、そして日本の立ち位置は?

自立・自助への発想転換を


 1989年の『ベルリンの壁』崩壊以降、グローバル化が進行。人口減が進み、縮む一方の日本の企業も「海外市場を取り込んで成長しよう」とグローバル化を進めた。こうしてグローバル化の恩恵を受けてきたが、今回のウクライナ危機による混乱は当分続く。海外市場取り込みで成長するという生き方も試練の時を迎えている。こうした混沌状況をどう生き抜くか。

【あわせて読みたい】【ウクライナ侵攻】識者はどう見る? 元内閣官房副長官補・兼原信克《その2》

 具体的には、エネルギーと食糧という個人生活、企業活動に不可欠の2つの領域にどう取り組むべきかという課題。

 日本はエネルギー、食糧の確保となると格段に脆弱性が目立つ。食糧自給率は約39%。米国は輸出国、欧州の有力構成国・英国も約6割と日本より高い。

 エネルギーも完全に国内需要を賄い、余った分を輸出する米国。ロシアもエネルギー大国である。こうした脆弱な状況に置かれる中で『国の基本軸』をどう構築するか。自立・自助への発想の転換が必要である。

 国際秩序が揺らいでいる。その1つが米国の国力の相対的低下と、中国の台頭である。ドルは今も基軸通貨のポジションを維持しており、今回の米国主導の日本、欧州を巻き込んでのロシアへの経済制裁は有効打になりつつはある。しかし、ドルに昔のような栄光はない。

 米FRB(連邦準備制度理事会)の政策金利引き上げでドル買い、円売りが当面は続く。

 国際金融秩序づくりで見ると、第2次大戦直後、〝パックスアメリカーナ〟の時代を迎え、ドルを基軸にし、為替を固定相場制に据え、金とドルの自由交換でスタートしたのが「ブレトンウッズ体制」。しかし、米国の経常収支赤字が続き、ついにドル価値の維持が困難となった1971年、当時のニクソン政権は金とドルを交換停止、そして変動相場制へと向かう。

 この間、円は切り上げの方向に一貫して向かう。しかし、これで金のクビキから開放されたドルは大量に印刷され、世界に散布された。過剰流動性の誕生である。その結果、起きたのが08年のリーマンショック、世界的な金融危機である。

 この間、市場経済化した中国はメキメキ力を付け、習近平政権は中国人民元を基軸通貨の一角に食い込ませようとしている。

 リーマンショックから十数年、世界はインフレの危機に見舞われようとしている。加えて、ウクライナ危機の発生。「何が起きるかわからない」と先行き不安が高まる。このように混沌とした中、日本はどう生き抜くか。

 ロシアへの経済制裁が進む中で、肝心の中国はロシアとの連携を進めようとする。その中国は台湾にどうかかわってくるのか。日本は戦後七十余年の生き方を洗いざらい検討し直す時を迎えた。経済人の覚悟も求められる時である。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事