2022-03-07

【M&Aに頼らず自力で成長】東ソー新社長に桒田氏が就任

桒田守・東ソー社長

「四日市の製造が長く、社長室、ポリマー事業部長などを歴任。会社全体を俯瞰できる。バランスよく判断でき、部下にも慕われている。さらなる企業価値向上を果たしてくれるだろう」

 3月1日付で東ソー社長に就任した桒田(くわだ)守氏について、こう話すのは、前社長の山本寿宣氏。

 桒田氏は社長就任に際し、「今期過去最高益になるタイミングでの交代で身の引き締まる思い。工場勤務23年と工場勤務の長いわたしが社長のバトンをもらうことに驚いている。カーボンニュートラルと会社の成長戦略を具体化し、必要に応じた設備投資を期待されているということだろう」と語る。

 桒田氏は1960年9月生まれ。広島県出身。84年大阪大学理学部高分子学科卒業後、東ソーに入社。2007年南陽事業所イソシアネート原料製造部長、13年6月理事、生産技術部長兼設備管理センター長、16年執行役員、20年取締役、直近はクロル・アルカリセクター長兼機能商品セクター長兼購買・物流部長を務めていた。

 東ソーの業績は好調だ。M&Aで規模拡大する企業が多い中、ほぼ自立で事業を拡大させている。

 2022年3月期は売上高9100億円(前年比24・2%増)、営業利益1360億円(同54・9%増)、経常利益1450億円(同52・4%)と過去最高益を見込む。

 東ソーの事業は石油化学、クロル・アルカリ、機能商品、エンジニアリングの4事業だが、近年、計測・診断関連などバイオサイエンス商品、自動車の排ガス浄化触媒のハイシリカゼオライト、歯科材料のジルコニア、半導体関連の石英ガラス、乾電池用途を中心とする電解二酸化マンガンなど、機能商品が成長。

 この成長軌道を持続させるため、4月から始まる中期経営計画を新社長のもとでスタートさせるべく、3月1日付の社長交代となった。

 桒田氏は「これからの時代、ステークホルダーに信頼される会社であることが重要。特に、カーボンニュートラルについては、日本の製造業全体の生き残りをかけたものになると認識している。力で取り組む」と決意を語る。

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