2022-02-10

最高益更新の『日本電産』 永守会長は「半導体も自分たちでつくる」

「われわれは沢山の引き合いを抱えている。しかし、引き合いが決まってから投資をするのは遅すぎる。市場の流れを予測しながら、2025年までの3年間に3千億円を投じる」

 こう語るのは、日本電産会長の永守重信氏。

 日本電産が2021年4月―12月期の連結決算を発表。売上高1兆4072億円(前年同期比18・8%増)、営業利益1346億円(同16・6%増)となり、過去最高益を更新した。

 家電向けコンプレッサーや空調機器向けモーター、欧米での搬送用ロボット向けモーターなどの販売が好調だった。それでも永守氏は「今回の業績に満足しているかというと満足はしていない」と語り、今後のEV(電気自動車)需要をにらんで、2025年までに3千億円を投資することを決めた。

 同社は昨年12月にセルビアに新工場を建設したばかりだが、今後の成長戦略に位置づけるモーターやインバーター、減速機(ギア)を一体化した『E-Axle(イーアクスル)』 (EV駆動モーターシステム)の生産能力を増強するため、さらなる新工場の建設を検討しているようだ。

 また、同社は2月1日付で、三菱電機やルネサスエレクトロニクス、ソニーグループで車載半導体を手掛けた大村隆司氏を執行役員に招聘。世界的な半導体不足が続く中、『E-Axle』に欠かせない半導体を自社でつくれるような体制づくりにも着手。

「半導体を外部に頼っていると、今回のような半導体不足に陥ってしまう。世界一を狙おうと思ったら、自分たちでつくれるような体制をつくっておかないといけない。どこかの会社を買うのか、それとも、自分たちでエンジニアを集めてきてやったほうがいいのか。具体的にどうするかは、大村さんにきちんと戦略をつくってもらえると期待している」(永守氏)

 これまでも永守氏は、自社で足りない技術や人材を補うため、外部の人材をスカウトすることで成長してきた。ただ、信賞必罰の永守経営では結果を求められ、満足な結果が出せずに同社を離れた人も多い。今後も緊張感ある経営が続きそうだ。

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