2021-12-01

南町田や武蔵小杉などで官民連携 「域内移動」を創出する【東急】の郊外再活性化策

10月26日に開業した「こすぎコアパーク」



武蔵小杉にある都市公園の改修

 南町田ほど大掛かりではないが、コロナ禍で東急が川崎市と共同で改修を進めてきたのが都市公園「こすぎコアパーク」。同公園は東急東横線・目黒線の武蔵小杉駅に隣接する川崎市が所有する都市公園だ。

 同公園は主として地域のイベント会場として使われてきたが、駅に隣接する立地にもかかわらず、高架下のフェンスなどによって駅通路と分断されていた。そこで川崎市は東急と公園整備協定を締結。「都市公園リノベーション協定制度」に基づき、東急が公園をはじめ、駅高架下の整備、日常管理(美化)、店舗の新築・転貸を行うことになった。

 都市開発事業部開発第一グループの椎名僚平氏は「今までは日常的に滞在する場所ではなかった。駅と公園をシームレスにつなぎ、ベンチや飲食店を設けることで地域の新たな憩いの場として様々な滞在環境を提供していく」と意気込みを語る。

 同制度は公共公園の整備と飲食店などの収益施設を民間資金で一体的に整備するというもの。更に事業者は通常の公募ではなく、計画段階で事業者を特定することができる。「南町田での実績があった」(同)ため、東急が指名された。同制度を活用した公園整備は国内初の事例となる。


リニューアル前までは線路高架下にフェンスがあって手前の公園と分断されていた

 東急では拠点・渋谷駅の再開発はもちろん、鷺沼駅などでも再開発計画を進めており、2年後に相模鉄道と相互直通する「新綱島駅では駅上に住宅をつくるという計画もある」(髙橋氏)。これまで駅の再開発と言えば、人を呼び込む商業をテナントとして入居する事例が多かったが、今後は人が駅に住むという事例も増えてきそうだ。

 他社幹部は「東急は沿線の長さが短く、観光地を抱えていない。そのため、細かな駅でも投資ができる」と指摘。東急の再開発は渋谷だけかという問いかけに対し、髙橋氏は「沿線で掘り起こせる資源はまだまだある」と強調する。コロナ禍での新たな鉄道会社の姿を模索することになりそうだ。

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