2021-10-22

【フューチャー】会長兼社長・金丸恭文の「フェアな競争が繰り広げられるような環境の構築が大事」



今の法律のままでデジタル化だけを進めても…



 ―― そういう視点は大事ですね。

 金丸 ですから、わたしは最優先で取り組むべきは、法制度の再構築だと思っていたのですが、菅前首相は「コロナが落ち着いてから取り組みたいんだ」とおっしゃっていました。

 要するに、コロナ禍で分かったのは、戦後の平和な時代を過ごしてきたわが日本の法制度は、21世紀の時代に対応できていないということ。それが今回のコロナ禍での危機管理対応が十分にできなかった理由の一つだと思います。

 もう一つ、今の法律が現実とかけ離れているのは、世の中のデジタル化が進んでいるからですよね。となると、今のままデジタル化だけを進めても意味がない。デジタル社会を前提に据えた21世紀型の法制度につくりかえないといけません。

 ―― 具体的にどうつくりかえるべきだと?

 金丸 われわれ日本人は、これまで直接人に会うことや紙でのやりとりを重要視してきました。ところがコロナ禍では、人流を抑制するためにリモート化が進み、日本人が得意としてきた人による緻密な作業のすり合わせ技術のような匠の連携による勝負ができなくなりました。コロナが終息しても、このリモート化の流れは変わりません。

 ですから、これから目指すべきは、日本人が得意とする分野を生かしながらデジタル化を推進することではないでしょうか。デジタル大臣に牧島かれんさんが就任されましたが、是非とも頑張ってほしいです。また、岸田総理にはどのようなデジタル社会を築いていくのかを含めて、新しい日本型資本主義をつくっていただきたいと思います。

 ただ、間違ってほしくないのは、「新しい資本主義」が既得権益を温存するようになってはいけない。そうなると、既得権益者がさらに有利になってしまいます。これから挑戦しようとする若い人たちのチャンスを阻害するようなことはしてほしくないと強く望みます。

 ―― 新自由主義批判の本質論議はさておき、それが規制改革不要論になってはいけないですね。

 金丸 新しい市場ができたり、フェアな競争が繰り広げられたりするような環境の構築や、地域の活性化を促すような規制改革を進めるべきだと思います。地方にいること自体がそもそも条件として不利なわけですから、そのフェアネスを担保しなければなりません。

 新自由主義の見返しがアンチ規制改革になり、アンチ規制改革が20世紀の仕組みを温存することに限りなくイコールになってしまっては、つまり20世紀の延長のままでは、岸田総理のおっしゃる所得倍増はありえないと思います。

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