2024-04-24

元経済産業事務次官・日立製作所前取締役会議長 望月晴文が語る「日立のガバナンス改革」

望月晴文・元経済産業事務次官



 ─ 海外の巨人と真っ向勝負できるようになろうと。

 望月 ええ。当時から日立の売上高は10兆円くらいありましたので、規模では負けない。でも、利益率がゼロから5%の間を行ったり来たりしている状態でしたので、同じ事業をやっていても勝負できません。海外のライバル企業は利益率2ケタ、十数%は当たり前ですから、営業利益率を上げられるような体質にしないといけない。そこから日立の改革が始まりました。

 まずはガバナンス(企業統治)改革。日立はわたしが取締役に就任した2012年にガラッと役員構成を変えまして、13人いる取締役のうち、社外取締役を4人から7人に増員。しかも、外国人を2人増やして3人にしました(現在は取締役12人のうち社外が9人、外国人は5人)。

 海外で成功した経営者を集めてきて、ジョージ・バックリーさん(スリーエム元会長)を始めとして皆ガンガン議論し、10年かけて改革をしていった。その結果、昨年(23年3月期)はちょっと下がったんだけど、調整後営業利益率6.9%、海外売上比率58%まで来ました。

 まだ目標とする利益率2ケタ、海外売上高比率7割には達していませんが、もう目標達成は十分に視野に入っています。

 日立の取締役会は本当に真剣勝負なんですよ。先ほど言ったように、外国人の取締役も多いので、日本人のように変な空気を読んだり、忖度したりするのではなく、良いならいい、悪いならダメだと、自分たちの言いたいことをはっきり言うわけです。だから、トップの意見に対してしょっちゅう反論も出るし、時には6時間以上議論を続けることもある。

 いつも真剣勝負ですから、常に緊張感があるし、昔のシャンシャン総会ではないけど、お友達役員同士が集まった形式的な議事進行ではありません。その意味では、本当にわたしも勉強になりました。


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