2024-03-01

《一筋縄ではいかない価格戦略》値上げが相次ぐ中、ローソンやファミマが実質値下げ

ローソンの『盛りすぎ! プレミアムロールケーキ』(左)と『新宿中村屋監修 カツカレー(カツ1個増量)』の通常商品との比較



個人の中でも振れ幅が大きくなってきている



 また、1月からお弁当の一部商品の値下げに踏み切ったのがファミリーマート。とんかつやハンバーグなど、定番弁当を刷新。従来698円(税込)だった「とんかつ弁当」は678円に、668円だった「ハンバーグ弁当」は598円に変更。容器の変更による軽量化や容器を黒から白色に変更してインクの使用量を削減し、コストをカットした。

 ファミリーマート商品本部デリカ食品部の栗原栄員氏は「相次ぐ値上げで財布の紐は堅く、節約志向になっている反面、節約の反動でプチ贅沢のニーズが増加している。それに伴い、本格的な味へのニーズは高まっており、結果として、高価格帯の商品と低価格帯の商品の双方が支持される二極化傾向になっているのではないか」と語る。

 一方、セブン-イレブン・ジャパンは、ここまで目立った値下げ戦略は無い。それでも、親会社セブン&アイ・ホールディングス社長の井阪隆一氏は、年頭挨拶で「お客様の生活防衛意識はなお高まっており、さまざまな角度からお客様の変化を読み取ることが必要」として、今後の対応に含みを持たせた。

 マクロ的な観点から考えれば、物価上昇を価格転嫁し、賃上げにつなげ、消費を拡大する……という好循環を生み出し、日本のデフレ脱却へつなげることが必要だが、物価高に賃金増が追い付かない現状では、消費者の財布の紐は堅いまま。やはり、理想と現実は違うのか。

 前述の梅田氏は「二極化は昔からずっと言われているが、それがより鮮明になっている。同じ人でも、ずっと安いものを買うとか、高いものを買うのではなく、時には安い商品や高い商品を買うなど、調整する回数が増えたのではないか。その振れ幅が大きくなってきていると思うので、われわれはそうしたお客様のニーズに対応していくしかない」と語る。

 各社に共通しているのは「値付けは本当に難しい」ということ。消費者ニーズに合った価格体系をどう打ち出し、新たな需要を喚起していくか。価格設定に悩むコンビニ各社である。

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