2024-03-04

吴江浩・中華人民共和国駐日本国大使に直撃!「様々な問題をしっかりコントロールし、全体として良い方向にむけて日本側と一緒に努力する」

吴江浩・中華人民共和国駐日本国大使



なぜ米国大統領選挙で世界秩序が左右されるのか?

 ─ 世界で分断の動きが出ている状況をどう見ますか。

 吴 一番大きな原因は米国の一部の方が、中国のこれ以上の発展は許せないと思っているところにあります。その中で、同盟国を動員し、中米の問題を世界と中国の問題にしようとしています。残念ながら、日本もその中に巻き込まれているのです。このときの日本の判断が非常に重要になります。今は日米同盟原理主義のようなものがあると言われます。

 しかし一方で、中日の間では平和友好条約があります。この条約は双方の国会の了承を得てできた条約です。お互いにこれを守る義務があります。その意味では、中日関係には自らの「基軸」があるべきです。それはまさに冒頭に申し上げた4つの政治文書です。外の世界がどう変わろうとも、中日は一緒にこれを守っていく必要があります。

 ─ アメリカの大統領選挙があるため、情勢がより複雑になり、そこの折り合いをどうつけていくかですね。

 吴 ええ。日本の世論もアメリカ大統領選挙で世界の秩序が左右されるという言い方がありますが、アメリカ一国の問題で全世界が左右されるべきではありません。アメリカの内政がどう変わろうとも、世界は安定と繁栄を維持するためにも、中日関係がしっかりとした基軸を守るべきです。さもなければ4年に1度の米国大統領選挙に翻弄され続けてしまいます。

 ─ さて、いま喫緊の課題の台湾問題について、どう向き合っていきますか。

 吴 あくまでも台湾は中国の一部です。内戦の遺留問題として、両岸は統一ができないまま今に至っていますが、中国の統一を図る意思は、中国の一人ひとりが持っている考えです。これは統一しなければいけませんし、必ず統一するという強い意志を持っています。

「平和的統一、一国二制度」の方針は両岸の統一を実現する最善の方式であり、これはこれからも変わりがありません。ただわれわれも決して武力行使の放棄を約束しません。その対象は外部勢力からの干渉とごく少数の「台湾独立」分裂勢力およびその分裂活動です。台湾問題は中日関係の根幹に関わる問題であり、日本が中日の4つの政治文書の原則とこれまでの約束を誠実に守り、言動を慎み、中日関係に大きな衝撃をもたらすことを避けるよう希望します。

 ─ 最後に今後の日中間の経済交流・対話はどんな方向に向かうべきだと考えますか。

 吴 まずはパートナーとの位置づけを堅持すること。中国が発展し、その経済規模が日本を超えた今、双方は一部の分野で競争することが増えていますが、互いに発展のパートナーであるとの位置づけは変わっておらず、ウィンウィンの旗印を高く掲げるべきです。広範囲の協力によって、互いの発展を促進すべきだと思っています。

 第2に協力の分野を広げること。デジタル経済、グリーン低炭素、財政金融、省エネルギーや環境保護、医療介護など多くの分野でしっかりとした協力を行っていくことが大事です。科学技術のイノベーションや第三者市場協力などにおいても大きな潜在力を持っている。 将来を展望すれば、中国も日本もデジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーションなど共通の課題に直面しており、人口減少と高齢化による共通の問題を解決しなければなりません。

 第3に開放的な世界経済を構築すること。中日両国が主要経済国として、グローバル経済ガバナンスに積極的に参加し、公正・合理かつ透明性のある国際経済貿易投資ルールシステムを構築し、貿易・投資の自由化及び円滑化を促進すべきです。それがグローバル産業チェーンとサプライチェーンの安定につながり、世界経済の更なる回復と発展を促進すると期待しています。昨年から中国は国際サプライチェーン博覧会という重要なプラットフォームを構築し、今年11月に第2回の大会が開催される予定です。すでに多くの日本大手企業が強い関心を示しており、より多くの日本企業が積極的に参加することを期待しています。

 最後に、日本の経済界が中日経済貿易協力に引き続き力を入れることを期待し、中国でより大きな成功を収めることを信じています。

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