2023-10-27

4メガ損保の「カルテル体質」を生んだ土壌、寡占体制下の公正な競争とは何か?

4メガ損保の「カルテル問題」について、金融庁の出方も焦点になる



 問題は今後だ。近年の自然災害の激甚化、被害規模の巨大化によって業界全体で保険金の支払いが増加、企業向け火災保険分野の業績は悪化している。この収益構造をどう変えることができるかが問われる。

 また、これまで前述のようなシェア維持のため、企業向けの保険価格を安く抑えてきた一方、個人向けの火災保険は値上げが続いている。結果的に個人にしわ寄せが来ていると言ってもいい構図。その意味では、大口の代理店であるビッグモーターを重視する余り、契約者保護をないがしろにした損保ジャパンの問題と通底している。

 保険会社の経営分析が専門の福岡大学商学部教授・植村信保氏は「1996年の保険自由化以降、保険料は概ね低下を続けてきた。しかし近年は引き上げが必要な状況となり、損保側には、価格を少しでも高くしたいという動機があったのではないか」と指摘する。

 処分が出た後、企業向け保険の世界はどうなるのか。外資を含め参入者を増やすのも1つだが「国内大手損保の保険料はリスクに対して高くないと言われている」(植村氏)。シェア維持のために安い保険料を出していただけに、それと同水準の価格を外資系は出せないと見られる。

 その意味で「今後は契約する企業側も、損保任せではなく、自らがリスクマネジメントの力を付けることが求められる」(植村氏)。簡単なことではないが、付き合いのある損保に単に任せるのではなく、自らに必要な保険を見定め、損保会社を選定する目を持つ必要に迫られる。

 4メガ体制下での「公正な競争」のあり方について、業界としていま一度見つめ直すべき時期に来ている。

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