2023-09-08

損保ジャパンがビッグモーター不正問題で窮地、経営責任は?

損保ジャパンは社長の辞任も…

ビッグモーターの保険金不正請求問題を巡り、金融庁は大手損保各社に保険業法に基づく報告徴求命令を連発。だが、当局の最大のターゲットが損害保険ジャパン(白川儀一社長)。

 損保ジャパンは2011年からビッグモーターに計37人の出向者を出し、東京海上日動火災保険や三井住友海上火災保険の出向者数(各3人)に比べて多く、水増し請求の舞台となった事故車の修理を行う板金塗装部門の要職などに就いていた。

 さらに、ビッグモーターの全国130を超える中古車販売営業拠点の約6割に当たる80拠点で損保ジャパンは「推奨損保」と位置付けられていた。

 金融庁は、今夏に長官に就いた栗田照久氏の下、銀行担当の検査チームの要員も駆り出した立ち入り検査で、損保ジャパンの問題点と経営責任の明確化を徹底させる方針とされる。

 22年3月に不正行為の疑いを内部告発で把握して以降、損保各社はビッグモーターに真相究明を迫ったが、損保ジャパンだけはビッグモーター側の報告を受け入れ、同7月中旬には役員が金融庁を訪れて「不正の指示は確認できなかった」と報告。直後には保険契約者の事故車の修理をあっせんする業務を再開している。

 白川氏は後に「あまりに軽率だった」と陳謝したが、金融庁はこの報告も問題視しており、今後の検査で「虚偽報告」と見做されれば、経営陣への責任追及は必至。

 この影響で損保ジャパンは、24年1月に予定していた自動車保険料の引き上げを当面見送らざるを得ない事態に。収拾に向けて親会社のSOMPOホールディングスは8月、一連の経緯を調査する第三者委員会を自らが主導する体制に変え、9月中にもCEOの櫻田謙悟氏、損保ジャパン社長の白川氏が会見を行うとしている。

 損保ジャパン経営陣は、中古車販売市場シェアトップで、自賠責保険などで多額の収入をもたらしてきたビッグモーターを重視するあまり、判断を誤った可能性がある。次の焦点はその経営責任をどこに求めるかだ。

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