2023-07-21

「森林資源は日本の財産」三菱総合研究所理事長・小宮山宏 × シェルター会長・木村一義

小宮山宏・三菱総合研究所理事長(左)、木村一義・シェルター会長(右)



100年住むことができる住宅をつくりたい



 ─ 山形を本拠に、木造建築の可能性を一貫して追い求めてきたのが木村さんです。今の小宮山さんの話を受けて、改めて、木造建築にかける木村さんの思いを聞かせてください。

 木村 わたしも小宮山先生の影響があるのか、木造建築こそが地方創生と日本の経済再生につながると考えています。

 木は環境にやさしい素材で、地球温暖化対策になりますし、何より住んでいて人の心を温かくさせる。われわれは人々が心身ともに豊かに暮らすことができる環境をつくるため、木造建築によって「都市(まち)に森をつくる」事業を推進しており、新たな木造都市の実現に向けて取り組んでいるところです。

 ─ 木造の住宅づくりは創業以来ずっとですね。

 木村 ええ。わたしは1974年、24歳でシェルターホーム(現シェルター)を設立しました。それから約半世紀、耐久性があって、100年住むことができる住宅をつくりたいという思いを抱いて、木造住宅づくりを進めてきました。

 というのも、海外では二代、三代にわたって住み続ける家が一般的ですが、日本ではマイホームを建てたら、その家は一世代で終わり。たった30年でお終いではなく、せっかく建てた家なのだから、二代、三代にわたって100年は住めるような家をつくりたいと考えたのです。

 ─ 木の可能性に懸けたということですね。

 木村 はい。木はやはり美しいですよね。年輪があって、どの木も一つひとつ表情が違うのも、またいいんです。鉄やアルミは表情が皆同じじゃないですか。しかし、木は違う。それは木が生きものだからです。

 だから、わたしは木が好きなんですが、そもそも、自分の名前がウッドヴィレッジ(木村)なんだから、木というのは切っても切れない関係ですよね。

 ─ いい名前をもらいましたね(笑)。

 木村 実は子供の頃は嫌いだったんです(笑)。父は工務店を経営していて、周りにいる大人たちは皆、大工ばかり。だから、あまり好きではなかったんだけど、歳をとってくると木の良さに気づくようになりました。

 そういうことで、わたしは会社設立以来、鉄骨やコンクリートの建物には一切手を付けなかった。木造だけでやりたかったんです。それが良かったと思います。

続きは本誌で

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