2023-06-29

高宮一雅・タカミヤ会長兼社長「建設現場に欠かせない『足場』ソフトとハードの融合で」

ビルなどの建設現場に欠かすことのできない「足場」。いわゆる仮設機材の1つですが、当社は1969年の創業以来、建設会社などに足場のレンタルや販売を行ってきました。

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 建設現場で使用される資材の多くはレンタルで賄われ、その中でも当社は建物の外壁に沿って設営する作業用の足場を中心に事業を展開しています。この足場を巡ってはあまりイノベーションが起こってこなかったのですが、当社は2013年から業界を一新させたサービスを展開してきました。

 それが次世代足場「Iqシステム」です。高さを従来の170センチから190センチに変更したのです。これまで日本の足場の高さは半世紀以上、170㌢でした。しかし日本人の身長が高くなり、ヘルメットや安全靴を着用すると、どうしてもかがんで作業しなければなりません。不意に立ち上がれば頭をぶつけて事故につながりかねません。

 そんな中で当社は2010年にIqシステムを開発。これによって現場の作業員がこれまでより広い空間で腰を曲げず、快適に作業ができるようになったのです。さらに、既存の足場よりも高い安全性と施工性、コスト削減も実現させました。今では次世代足場が業界のスタンダードになりつつあります。

 そして当社が今後注力していくのが、建設会社同士が足場を売買・運用できるプラットフォーム事業です。建設会社などがオンラインにて、事量の兼ね合いで余剰分の足場を出品したり、不足分を購入できる新サービスです。建設会社は仕事の繁閑に応じて足場の在庫を管理しやすくなり、余分な足場を製造する必要もないため、環境面においてもメリットがあります。

 昨今の建設業界では、各都市のインフラ修繕や再開発により、工事需要が増加している一方、資材や人件費などの原価の高騰によって建設工事費の上昇が課題となっています。当社のプラットフォーム事業を利用すれば、こういった課題の解決にもつながります。

 具体的には、当社の全ての既存サービスをデジタルで受けられる「OPERA」は、足場の出荷履歴確認ができ、システム内で一括管理が可能になります。これまで当たり前だった電話とFAXによる受発注がWeb上でできるようになります。

 また、足場の価値の変動を見ながら売買ができる「Iq―Bid」はオンラインで、建設会社が自らの建設資材に価格をつけて出品したり、他の建設会社が売りに出している足場を購入することもできます。

 従来の枠組み足場を扱う会社の平均稼働率は50%前後。半分は置き場に眠っている状態なのです。これをもっと有効に活用することができれば、建設現場の生産性を上げると共に、建設会社のコストも減らすことができます。

 当社には全国29カ所に機材ベースがありますから、各所で在庫の管理が可能ですし、各社で共有してもらうことで置き場や管理・整備にかかる費用を削減できます。また、当社の管理委託も可能なので、建設会社は常に高い品質・安全性の高い足場を担保され、機材管理コストの削減につながります。

 まさにハードとソフトの融合による新たなビジネスと言えます。コロナ禍で工事が遅延したり、中止になるなど、足場ビジネスは外部環境によって左右されるところがありましたが、新たなビジネスはそれを防ぐことにもなります。足場の可能性を広げるためにも、この新ビジネスを業界のスタンダードに育てていきたいと思っています。

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