2023-06-30

自動車版アップル流のものづくり 【フォロフライ】小間裕康の「ファブレス商用EV戦略」

小間裕康・フォロフライ社長



社会インフラ事業会社へ

 そもそも小間氏がEVに携わったのは今回が初めてではない。10年にGLMというEVスポーツカーを開発する会社を設立し、国内初の量産EVスポーツカーを実用化させている。

 当時から自動車業界で当たり前の設計開発から生産までを自社グループで行う垂直統合型の大量生産方式とは一線を画す他メーカーに生産を任せる水平分業型のファブレス生産をとっていた。

 EVスポーツカーは価格も高価だったこともあり、台数が出なかったが、「中国でEV開発受託実績を蓄積してきたことで、複数の自動車メーカーと生産委託のネットワークを構築してきた」と小間氏。F1シリーズではこれをフル活用している。


「F1」シリーズのバン

「自動車メーカー機能だけではなく、社会インフラ事業会社となることを目指す」と語る小間氏。EVを普及させるためにも日本全国の整備事業会社とのネットワークを保有する丸紅グループや三菱オートリース、芙蓉リースグループとも提携しており、全国でのEVの整備体制を構築する。

 2022年の国内EV新車販売台数は約5.8万台。新車販売数全体の2%弱だ。一方で中国は2割を超え、欧州は1割超、米国でも約6%と、日本での普及は遅れている。

 その間隙を縫って存在感を高めているフォロフライ。電動化で自動車業界の産業秩序が変わる中、同社の台頭は既存の自動車メーカーへの脅威となるかもしれない。

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