2023-04-03

【国土交通省】宇宙産業の活性化なるか 産官学連携に注目

写真はイメージ

宇宙航空研究開発機構(JAXA)による新型基幹ロケット「H3」1号機の打ち上げ失敗で、国際競争力確保に暗雲が漂う日本の宇宙産業だが、国内では産官学連携によって新たな関連ビジネス創出を図ろうとする動きも広がりつつある。将来の宇宙産業活性化につながるかが注目される。

 その1つが三井不動産が中心となって設立した一般社団法人「クロスユー」だ。東京・日本橋を拠点に企業や研究機関、行政の交流の場を提供し、イベントなどを通じて宇宙産業のイノベーションを生むことを目指す。JAXAとも連携協定を結び、理事長には東京大学大学院工学系研究科教授の中須賀真一氏を迎えた。

 三井不動産社長の菰田正信氏は「宇宙産業のプレーヤーを中心とした熱量の高いコミュニティーを構築していく」と意気込む。2月13日の法人設立発表時点での入会予定企業は、アクセルスペースや岩谷技研、Space BDなどの宇宙ベンチャーに加え、日本たばこ産業(JT)、三井住友海上など計16社を数えた。

 世界の宇宙関連ビジネスは40年に120兆円規模に拡大するとの予測もあり、幅広い産業への応用が見込まれている。中でも▽水素・燃料電池や遠隔操作などの技術革新▽人工知能(AI)の高度利活用▽宇宙空間での創薬▽カーボンゼロ社会実現─など、社会課題の解決につながるとの期待も大きい。

 ただ、国際的な宇宙開発競争は激化している。特に米国では、H3が獲得を目指す衛星打ち上げ市場では民間企業のスペースXが台頭。さらに宇宙旅行や小型ロケット開発、人工衛星による地球観測などのベンチャー上場も相次ぎ、日本のはるか先を行っている。

 中須賀氏は「全分野で米国と勝負するのは得策ではない。特定分野に賭けて技術や支援を集中する施策が大事だ」と主張。国内宇宙ベンチャーとして初の上場が決まったispaceが手がける月面輸送の他、地球観測などの分野では「まだまだ欧米と勝負できる」と訴えた。

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