2023-01-14

【厚生労働省】岸田政権の本気度は? 子育て支援、財源論先送り

有識者で構成する政府の全世代型社会保障構築会議(座長・清家篤日本赤十字社社長)が昨年12月、今後取り組むべき課題を盛り込んだ報告書を岸田文雄首相に提出した。少子化対策を柱に据えて、子育て世帯への経済的支援や仕事との両立を後押しする仕組みの構築を提言。所得に応じた高齢者の医療費負担増も打ち出した。

 岸田首相は子育て支援の充実に向け「子どもの視点に立って必要な政策をしっかり議論する」と表明。その上で「来年度の骨太の方針には子ども予算の倍増を目指すための当面の道筋を示していく」と強調した。

 報告書は「少子化は国の存続そのものにかかわる問題」と指摘し、「子育て・若者世代への支援を急速かつ強力に整備する」必要性を強調。負担を将来世代に先送りせず、全国民が能力に応じて社会保障制度を支え合うことを基本理念に提示している。 

 目玉となる子育て支援策では、出産育児一時金の増額など経済的支援に加え、時短勤務を選ぶ会社員や育児休業給付の対象外となっている自営業者らに対する給付制度の創設も提唱。さらに児童手当の拡充も明記し、裏付けとなる恒久的な財源の検討も求めた。

 報告書は取り組むべき課題の優先順位を明記したことも特徴で、ある内閣官房幹部は「やりやすい課題だけを出してお茶を濁すことがないよう、必要なことはしっかり盛り込んだ。法案提出の準備が遅れれば、その分取り組みが遅れる」として、早急に進める項目を明確に打ち出すことにも腐心したという。

 ただ、肝心の財源の部分は「安定的な財源の検討」を求めるにとどまった。厚労省のある幹部は「防衛費増額の陰に隠れて、しっかり議論できる雰囲気ではなかった」と振り返る。

 先の内閣官房幹部は「財源確保の問題は簡単ではないが、ここでしっかり取り組まないと将来に禍根を残す」と話しており、改めて岸田政権の少子化対策への本気度が問われている。

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