2022-10-11

『クラウドファンディング』の先駆けが手掛ける次の一手は? 答える人 READYFOR CEO・米良はるか

READYFOR CEO 米良 はるか


日本にはお金の使い方を提案できる機能が無い


 ─ なるほど。お金を増やすだけでなく、いかにお金を活用していくかが重要だと。

 米良 世の中にはいろいろな方がいらっしゃいます。わたしがお会いした方で、お父さんから譲り受けた会社を継続するのではなく、売却された方がいらっしゃいました。

 そこで大きなお金が入ってきたんですが、それを自分の人生の中で全部使うとか、お子様に全額遺すことは果たしていいのだろうかと。お金があれば幸せというわけではないだろう、と考える方って結構多いです。

 もちろん、ご家族の方に何も遺さないというわけではないでしょうけど、十分な額は遺しつつも、それ以外のお金については、例えば、社会的な問題で経済的に厳しい方であったり、孤立・孤独に悩んでいる方であったり、そういう方々の支援につながるようなところに、お金を流したいというお客様は増えていますね。

 ─ そうした相談が増えているということですね。

 米良 日本ではどうしてもお金を増やしましょうというところに主眼が置かれていて、お金があればハッピーになると。

 でも、単にお金が増えれば人生ハッピーかと言ったら、そんなに単純なものではない。わたしはそのお金をどのように活用し、家族がハッピーになるとか、社会がハッピーになるかということを、もっと考えられればいいなと思っています。

 でも、今の日本にはそういうことを相談できる機能が無くて、寄付のような形のお金の使い方に興味がある人はいても、プロフェッショナルな提案ができる方はいませんでした。ですから、わたしたちがそうした存在になれればいいなと。

 ─ 先日、京セラ創業者の稲盛和夫さんが亡くなりました。稲盛さんは私財を投げ打って財団をつくったりしてきたんですが、寄付したいという気持ちはあっても、稲盛さんのように自分で財団をつくれる人ばかりではないということですね。

 米良 本当にそう思います。稲盛さんのようにアントレプレナーシップ(起業家精神)があって、自分で課題を見つけて、自分たちで手掛けている事業でない分野に対しても、同じようにパッションをもって挑まれる方は少ないと思います。

 例えば、アメリカでは個人寄付の額が35兆円と言われているんですが、日本ではだいたい5000億円から1兆円くらいです。

 ─ それくらいアメリカには寄付の文化が根付いているんですね。

 米良 やはり、それだけの規模があると、例えば、プライベートエクイティやファミリーオフィスのような機能をもった人たちの中で、お客様の寄付のお金をどういう風に回していけばいいのかを考えてくれる人たちがいます。

 ある意味で、資産運用の一つの観点として寄付ということが入っているので、お客様自身が見つけ出さなくても、周りの人たちがコーディネートしてくれる。それでお客様自身がだんだん知識を得るようになり、お金が回っていくんです。

 しかし、繰り返しになりますが、日本ではそういうことを教えてくれる人たちがいない。ですから、われわれは金融機関さんとも連携しながら、一緒になって寄付先のついてのご提案をさせていただいているということです。

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