2022-04-01

【USEN-NEXT】宇野康秀の「試練が人を鍛える」

DXを推進していくチャンス



 ―― コロナ禍で経済環境は不透明な状況が続いていますが、足元では増収増益の見通しとなるなど、業績が堅調です。改めてコロナ禍の2年間をどのように受け止めていますか。

 宇野 われわれのお客様は飲食店やホテルが多く、こうした業界はかなりコロナの影響を受けていますので、わたしたちにもそれなりのマイナス影響があるかなと思っていたんですが、おかげさまで、連続して増収増益を続けられています。

 自分たちが進めてきたことというのは、今でいうDX(デジタルトランスフォーメーション)化の流れにありまして、必ずしも人の力に頼らず、デジタル技術でできるところはやっていくと。そういう仕組みやサービスを推奨していこうというのを、2017年の経営統合の時から掲げてきたものですから、一見、経営環境は非常にマイナスに見えますが、一方でDXを推進していくには非常にチャンスではないかと思います。

 わたしたち自身も、統合の頃から働き方改革を進めてきました。会社に来なくてもリモートで仕事ができる環境をコロナ前から整えてきましたので、いわゆる、経営環境としてはマイナス要素もありましたけど、見方を変えれば好機ということもあり、何とかマイナスの部分を抑えられたという感じです。

 ―― 事前の準備が功を奏した形ですね。

 宇野 ええ。もっとも、U-NEXTという映像配信サービスは、まさに巣ごもり需要を捕まえた形になっています。

わたしも以前から、近い将来レンタルビデオ屋さんに映画を借りに行き、それを返しに行くという面倒くさい時代は変わるんだということを言い続けて、もう20年近く経ってしまいましたけど(笑)。ただ、それがようやくコロナ禍で皆さんに認識していただいた。外に返却しに行かなくていいという便利さを理解していただいたという意味では、これも大きくプラスに影響した部分です。

 ですから、こうした事業を合算すれば、グループ全体としては何とか影響を受けずに来ていると。もちろん、グループ会社の中には打撃を被っているところもありますけれど、グループのポートフォリオ的なところでいうと、トータルでプラスに持っていくことができているということですね。

 ―― これはどこかの事業が凹んでも、他の事業がカバーするという経営体制を築いてきたと言っていいですか。

 宇野 はい。この先もいろいろな環境変化があるのだろうと思っていますが、経営統合によりホールディングス化した時から考えていました。全体のポートフォリオのなかで、どこかがマイナス影響を受けたとしても、どこかが伸ばせると。そういうバランスのとれたグループ経営を目指してきたのが良かったですし、これからも継続できるようにやっていきたいと思っています。

続きは本誌で

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