2021-12-24

経済安全保障担当大臣に聞く! 経済安全保障政策をどう構築するか?

小林鷹之・経済安全保障担当大臣



「ビジネスは原則自由」

 ─ では、隣国で日本にとっての最大貿易相手である中国とは、どのような付き合い方をしていくべきだと考えますか。

 小林 まず、経済安全保障に限らず大きな視点で見ると、建設的かつ安定的な日中関係が、日中両国のみならず、東アジア地域や国際社会にとっての平和と繁栄に寄与します。その上で、中国が世界第2位の経済大国として、大国にふさわしい責任を果たし、国際社会のルールに則って行動することが重要です。

 先般、岸田総理が電話で日中首脳会談を行いました。岸田総理からは日中間の様々な課題について提起をし、率直に意見交換をしたと承知しています。また、今後の日中両国にとって共通の課題について、しっかりと協力していこうということで一致したとも聞いています。これが本当に重要な話になります。

 経済安全保障の文脈で言えば、私たちは特定の国を念頭に置いているわけではありません。日本の企業にとっても、中国との関係は重要でしょう。ですから、国として中国とのビジネスを控えてくださいということでは決してありません。

 ビジネスは原則自由です。グローバル経済となり、オープンイノベーションと叫ばれるようになって、1企業や1国の中で閉じこもっていたら、革新的なイノベーションは起きません。

 ─ 国境を越えて、いろいろなプレイヤーと協調していくことも重要であると。

 小林 はい。それが大前提です。ただし、海外の企業とビジネスをする中で、時に日本の法律を含めたルールや慣習と外国のそれとでは違いがあります。ですから、企業自らが事前にその国の法律やルールに対する万全の準備をした上でビジネスを行っていただきたいと思います。もちろん、これは中国に限ったことではありません。

 中国の例で言うと、サイバーセキュリティ法などの中で、中国に拠点を置く企業は重要なデータを中国の国外に自由に持ち出すことはできないと規定されています。日本とはルールが違うわけです。こういったものをしっかり把握し、理解しておく必要があります。

 ─ グローバル時代でも国という存在があるわけですね。

 小林 ええ。企業によっては「経済安全保障室」といった部署を設置する動きが出てきていますが、まずは企業自身が自分たちの責任の中で対策を講じていく必要があります。

 そして、国もそういった個々の企業や産業界全般の動きに対応し、協力をしていく必要があると思っています。

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