2024-05-01

【ずいひつ】電脳交通・近藤洋祐社長が語る「「日本版ライドシェア」でタクシー市場のさらなる成長を!」

4月から「日本版ライドシェア」が限定解禁されました。2015年の創業以来、タクシー配車システム等を開発し、全国で約500社の契約先、1.6万台以上の契約車両に導入していただくなど、タクシー業界に身を置いてきた私から見て、今回の規制緩和は様々なメリットを生み出すと期待しています。

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 特に強調したいことは、日本版ライドシェアで一般のドライバーとタクシー運転手が対立構造になるわけではないという点です。日本版ライドシェアでは、あくまでもタクシー会社が運行を管理する仕組みになっています。仮にライドシェアの運転手が事故を起こした場合には、その責任はタクシー会社にあるのです。これはライドシェアの運転手にとっては大きなストレスの軽減につながるでしょう。

 一方でタクシー会社にとっては、普通免許ドライバーに使ってもらえるようになるため、自社で保有する車両を眠らせることなく稼働率を上げることができます。また、正社員雇用という形態とは異なるスポット契約が可能になることで、人件費の軽減にもつながるでしょう。

 そもそもタクシー業界は運転手不足と高齢化という大きな難題に直面しています。以前行った当社の調査によると、乗客のお客様が全国でタクシーを注文した際の配車率は約70%。つまり、3割のお客様がタクシーを注文しても車が来ないという状況に直面しています。

 一方で、運転手が本当に足りていないのは朝と夜の時間帯が中心です。さらには都市部や過疎地でも足りなくなる時間帯が異なります。しかしながら、これまでタクシー業界は規制緩和が進まず、外部環境の変化に対応してこないままでした。それが今回の規制緩和が〝新しい風〟となって約1.6兆円と言われるタクシー業界の市場規模を拡大させる可能性を秘めています。

 中でも重要なことは日本版ライドシェアの一部解禁で、多くの人や企業がタクシービジネスに注目し、参入を検討している点です。既存のタクシー業界では生まれなかった新しい発想やテクノロジーが今後のタクシー業界を活性化することにつながります。

 当社も日本版ライドシェアに対応した新たなシステムを提供しています。例えば、乗客のお客様の希望に応じてタクシーとライドシェアを振り分けたり、乗車前に運賃を提示する事前確定運賃の仕組みです。これにより、乗客のお客様には選択肢を提供することができます。

 前者に関しては、プロによる安全かつ快適な移動を求める場合にはタクシー運転手を、最低限の安全が担保された上で今すぐ移動したい場合にはライドシェアの運転手をといった具合です。もちろん、電話予約の対応もできるようになっています。

 当社の2年ほど前のアンケートでは、配車アプリ経由でタクシーを呼ばれる方は全国でも1割弱で、9割強は電話を利用していることが分かりました。そこで当社のシステムではコールセンターに常駐するオペレーターがこれを振り分けています。

 また、ウーバージャパンやDiDiモビリティジャパンなど配車アプリ5社とも提携し、車内に当社のソフトを組み込んだタブレット1台で、どのアプリ経由でも即座に対応できます。運転手は乗客探しから解放されます、安全運転という本業に徹することができるようになるのです。

 タクシーは決してなくてはならない交通インフラです。新しいテクノロジーと連携していくことでもっと発展ができるはずです。そのお手伝いをしていきたいと思っています。

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