2023-12-26

【厚生労働省】居住支援を強化 生活困窮制度などに反映

厚生労働省は、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の次期見直しで、住まいに関する支援の位置付けを明確にする。24年の通常国会で提出を予定している改正法案に関連項目を盛り込む。

 居住支援は、単身高齢世帯の増加や持ち家率の低下によりニーズの拡大が見込まれ、国土交通省、法務省との3省合同で、高齢者や障害者といった「住宅確保要配慮者」への支援の在り方が検討されている。厚労省では、福祉分野の支援を充実し、ソフト面の強化を図る。

 具体的には、困窮者らの相談に応じて適切なサービスにつなげる自治体の自立相談支援事業において、居住支援の相談機能を明示する。居住支援法人や自治体が設置する居住支援協議会と連携できる体制の構築を促し、要配慮者が抱える複合的課題にアプローチする狙いだ。

 離職・廃業から2年以内の人、または収入の減少により離職・廃業と同程度の状況にある人に支給する住宅確保給付金については、転居費用も対象に加える。現在は家賃相当額を原則3カ月間支給しているが、収入の減少などで転居したくても費用を捻出できない人が多いことを考慮した。

 転居費用の支給額には上限を設けるが、支給は一度に限らない方向で検討。現行制度の支給要件となっている求職活動をめぐっては、高齢者らが支援を受けにくくなると懸念する声があることを踏まえ、支給対象の詳細は今後詰める。施行は25年度以降を目指すという。

 同省幹部は「日本では住まいの問題を福祉的な観点から捉えていなかったので、一つのチャレンジングな取り組み」と指摘するが、「実態を踏まえて、増加が見込まれる定年期や低所得への対応を視野に何ができるか考えていきたい」と話した。

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