2023-09-07

【経済産業省】生成AIに必要なスキル提示 国家試験の問題に反映へ

対話型人工知能(AI)「チャットGPT」をはじめとした生成AIを仕事で活用する意義や、利用者に求められるスキルを示した報告書が公表された。経済産業省商務情報政策局情報技術利用促進課が事務局を務める「デジタル時代の人材政策に関する検討会」が、開発者やユーザー、学者へのヒアリングを実施し、短期間でまとめた。

 生成AIを巡っては、日本のビジネスや企業レベルでの導入率が世界平均と比べて低いという複数の調査結果があり、報告書を示すことで企業での活用促進を図る。

 報告書は、生成AIが「大量のデータを学習し、その要約や分析、提案を出すといった業務について高い性能を発揮する」と分析。うまく活用できれば、業務の生産性向上や抜本的な改革が図られ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進につながるとした。

 さらに、利用者に求められるスキルとしては、AIへの指示に当たる「プロンプト」の習熟を挙げた。情報技術利用促進課の担当者は「適切な指示や問いを投げ掛けることが重要で、それによって効果的な回答が得られるかどうかが変わってくる」と説明。この他、技術の進展が早いことから▽変化をいとわずに学び続ける姿勢▽得られた回答をうのみにせず批判的に考察する力も重要になる─とした。

 政府は、ITの知識を持ち、地域の課題解決を牽引(けんいん)する「デジタル推進人材」を2022年度から26年度末までに230万人育成することを目指している。そんな中、近年、ITに関する基礎知識を証明する国家試験「ITパスポート」の受験者や合格者が増加傾向にある。DX推進に向け、地方銀行や自治体などで職員に取得を求めるケースも出てきた。

 今回の報告書の内容などを基に、経産省は、ITパスポート試験の24年度実施分から、生成AIを巡る問題を追加する方針だ。関連する国家試験の問題についても、今後、見直しを検討していく。

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