2022-03-08

【経済産業省】中小企業への価格転嫁で対策不十分な企業を個別注意

経済産業省は2月、関係省庁を集めたオンライン会議で、中小企業の価格転嫁強化に向けた対策を公表した。同省はこの中で、下請振興法の規定に基づき、価格転嫁が不十分だったりそもそも交渉に応じなかったりする大企業を大臣名で個別注意するなど新たな策を講じる。

「過去にほとんど活用事例がない」(担当者)というこの規定も活用し、原材料やエネルギー価格の高騰が中小企業の経営を圧迫する中、あの手この手で価格転嫁を後押しする構えだ。

 政府は昨年10―11月に、中小企業約4万社を対象に価格転嫁が適切に行えているかアンケート調査を実施。その結果、約2割の事業者がまったく転嫁できなかったと回答した他、約1割がそもそも転嫁に向けた交渉ができなかったと回答。

 政府はこの結果や、下請けGメンへの聞き取り調査をもとにスコアを付け、転嫁が不十分だった企業や業界を割り出した。中には下請けが根拠を示し値上げを求めても「値上げしないのは法律違反になるのか。判例を持ってこい」と言われて断られるなど悪質な事例もあった。

 下請振興法は第4条で、各業界を所管する大臣が必要と認める場合、親事業者などに指導や助言を行うことができると定める。同省によればこの規定による指導や助言は過去数回しか実施例がなく近年は活用されてこなかったが、今回の対策ではこれを「解禁」。スコアが低かった企業には所管大臣名で文書を送付し、価格転嫁への取り組みを促す。直接注意を行うことでプレッシャーをかける狙いだ。

 対策ではこの他、監督強化に向けて下請けGメンのアドバイス機能強化や、人工知能(AI)を用いた取り締まり効率化の検討を盛り込んだ。また、中小企業は知的財産権の管理に関するノウハウに乏しく、大企業との取引の中で不利な契約を結ばされてしまうなどのケースがあることから、年度内に「知財Gメン」を新設し支援も実施する。

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