「倫理」とは外の目 ─ そうやって倫理観をどれだけ高めていくかが重要だと。
八田 ええ。倫理とは基本的に外の目です。ハラスメントもそうです。自分は悪気があってやっているわけではないのだけれども、相手にとっては嫌だってことがあるわけです。特に人によってこれは違います。ですから、相手の立場、外の目と言いますか、相手の目線で物を考える必要があるということです。
─ まさに相手の立場に立って考えるという人としての基本軸ということですね。
八田 そう思います。もし、こんなことをやられたら嫌だろうなと。だったらそれは良くないことですねと。倫理観を学ぶことによって、こういう相手側の立場に立って物事を考えることができるようになります。
会計の簿記でも複式簿記では借方と貸方があります。これは1つの取引事実を二面的に分解し、「私とあなた」「ギブ&テイク」「原因と結果」といった形でそれぞれ処理しているのです。
例えば卸から小売りが商品を買った場合、自分は仕入れでいくらの現金がかかったとしか考えません。しかし、相手の立場に立つと、現金が入って売り上げがたつことになります。そういう形で物事が結びついていることが分かるようになるのです。会計を学んできた私には、この複眼的に物事を考える習慣が身についています。
倫理もまさにこういうことなのです。物事をする側とされる側。これは常に考えていけば、自ずと答えは見えてくるのです。
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