2021-09-29

【自民党総裁選】新首相はまず、 国のビジョンをこそ!


リーダーの真価が問われている


 大事なことは、政治リーダーが国の針路を巡り、大きな国のビジョンを示せるかどうかという視点を忘れてはならない。冒頭、民間の力、国民のヤル気を掘り起こすときと記したのも、若い世代を中心に自力、あるいは自立・自律の考えが非常に強くなっているということ。

 世界に目を転ずれば、同じパンデミックの中にいて、米国は年率7%、欧州は4・8%と高い経済成長を遂げているが、日本は2%台という低い成長。思い返せば、1989年(平成元年)、ベルリンの壁が崩壊し、旧ソ連や東欧などの社会主義体制が崩壊、日本は90年代初め、バブル経済が崩れ、〝失われた20年〟の時代に入る。

 GDP(国内総生産)は、500兆円程度でずっと推移、物価も低迷し、デフレ状況が依然続く。低成長、ゼロ金利・マイナス金利というデフレ現象は令和の時代を迎えて基本的に続いており、まさに〝失われた30年〟という状況。

 こういう中にあって「リーダーはまず、自分の考える日本再生の道筋を示すとき。有り体に言えば、自分のやりたいことを言えと言いたい」と識者は語る。

 経済政策では、河野氏は「企業から個人へ」と労働分配率を一定水準以上にした企業に法人税での特例措置を行うと表明。高市氏はサナエノミクスを掲げ、積極的財政出動によるリフレ策。岸田氏は『格差是正』、『中間層への配分』を訴える。国のカタチをどう構築し、国民のヤル気を掘り起こしていくか、大事なときである。

 こういう時の経済人の役割とは何か?

 もちろん自立の道が要求されるが、デジタル化の遅れ、コロナ対応での医療崩壊という国家的課題について、「経団連、経済同友会、そして商工会議所など経済団体も政策立案で積極的に提言すべきときである」という指摘。ここは政治リーダーのみならず、経済リーダーもその存在意義と真価が問われている。

アフガンの教訓


 アフガンでタリバン政権が復活した。米国が支援した前政権は米軍撤退に合わせて、あえなく崩壊し、イスラム原理主義のタリバンが権力を掌握。このアフガンから撤退するときの各国の対応が今、話題になる。

 米国は11万人余のアフガン在住の自国民と、米政府や米軍の政策実行に協力したアフガンの関係者の大方を撤退させた。ドイツも5000人余の規模で実行。英国も1万5000人以上の自国民とアフガン人を救出したと言われる。日本はどうか?

 日本大使館員と、業務に協力してきた500人余のアフガン人は出国を試みたが、運悪く自爆テロが発生。8月17日に大使館員12人のみが英国機で脱出。協力してくれた500人余のアフガン人は取り残されたまま。

 こうした海外での危機に遭遇したとき、決まって出てくるのが、飛ぶのは自衛隊機か、民間機かという日本国内での議論。

 民間機は危機真っ只中の現地に飛ばせないというのも当然の考え方。問題は自衛隊機を飛ばせるかどうかである。自衛隊法の条文には「防衛大臣は当該輸送において予想される危険及びこれを避けるための方策について外務大臣と協議し、当該輸送を安全に実施できる認めるときは、当該邦人の輸送を行うことができる」とある。

 要するに日本の憲法上、武力行使の目的で自衛隊を他国に派遣することは許されないとして、これまでの国会審議では自衛隊機を飛ばす前に現地は安全かどうかを巡る議論で終始。

 自衛隊関係者は安全が確保されていないから自分たちの使命として行くという考えが強い。自衛隊関係者の間では、安全が確保されている場合は民間航空機に任せればいいという考え。自衛隊関係者には覚悟がある。

 国と国の関係構築には国民同士の動きも絡まってくる。

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