コロナ危機で基金を設立2万人から9億円集める コロナ危機1年目の昨年、米良氏は『新型コロナウイルス感染症拡大防止活動基金』を設立した。コロナ対応の病床数が足りない、医師や看護師が足りないといったことで医療界に危機感が高まった時期。
また初期には、コロナ患者に対応する医師や看護師の子供たちが学校でいじめや中傷にあうなど、社会問題になった。
そうした事態に、米良氏は「日夜、医療に従事している人たちやNPO(非営利活動法人)の関係者をサポートしよう」と同基金設立に動いた。
クラウドファンディングはプロジェクトを立ち上げる企業(人)がお金を募るというのが通常のやり方だが、より社会的な広がりを持たせようと、基金方式にしたのである。
これで、8億7000万円を短期間に集めることができた。2万人以上の個人が応募。これは2020年の国内クラウドファンディングでは最多の金額となった。
『共感』する人がこれだけいて、危機に対応しようとする動きが民間に出てきているという事実。
医療従事者への支援だけに留まらない。コロナ禍で集客が厳しいスポーツチーム、飲食業関係者へのサポートも実行した。
ただ、2年近くに及ぶこのコロナ禍について、「今年(2021)になって、どちらかというと状況はすごく悪くなってきた」という米良氏の認識。
「昨年の段階では、ワクチンが出て来て集団免疫なんかも獲得して2021年はいい状況になるのではないかなと多くの人たちは思ったと思います。わたしも正直、素人なのでそういう気持ちも持っていました」
ある種、コロナ慣れしてきていたところに、感染力の強いデルタ株が登場。若い世代の感染も増え、基礎疾患がないような人でも感染、重症化、時に死亡者が出る状況になった。
病院に収容できず、自宅療養を続ける人が全国で約10万人にのぼり、都内では9月中旬で9千数百人前後はいる。自宅療養の途中で死亡に追い込まれる人もいる。
また、入院先が見つかるまで酸素ステーションで一時収容する手立てもあるが、この酸素ステーションの確保がままならない。米良氏はどう動いたのか?
READYFOR社長 米良はるか
自宅療養の患者治療に赴く医師・看護師を支援 今夏、コロナ禍第5波が襲来。8月中旬は都内で1日の感染者が5000人を上回る日が続き、医療体制もひっ迫。自宅療養を余儀なくされる人が増加、家庭内での感染が広がった。
ここへきて、ワクチンの1回目の接種を受けた人が6割以上、2回目の接種を受けた人が5割近くなってきており、感染者数自体は低下傾向にある(9月上旬は東京で1日1000人台)。
しかし、接種率の低い若い世代や学童に感染が広がっているのが気懸りで、自宅療養がまだ解消できていないということでは、危機的状況は変わらない。
本当は、病院で手当てしなければならない人が受け入れられず、タライ回しになる状態。
「もちろん、病院の皆さんも本当に現場で奮闘されていますし、1人でも命を守ることをずっとされているんですけれども、病床数以上に患者さんが今、増えている状況だと思うんです」
米良氏は危機的状況にある中で、自宅療養を続けざるを得ない人のことを思いやりながら、次のように話す。
「本当に、ご自宅ですごく心配しながら、どうにか自分の命をしっかり守ろうと頑張っている方、療養されている方がいらっしゃって、そこに対して万全の状態でしっかりと患者さんを支えていくような体制づくりが何としても必要です」
こうした考えの下、米良氏は具体的に行動に移していく。
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