2021-10-01

【農林水産省】コメ生産量700万㌧割れ 米価の維持へ作付抑制

農林水産省はこのほど、2021年産米の生産量が694万~696万㌧になるとの見通しを公表した。人口減少や新型コロナウイルス感染拡大に伴う外食を控える動きが響き、コメ消費は低迷。米価を維持するため、作付面積を6・5万㌶抑制した結果、主食用米は比較可能な08年以降で初めて700万㌧を下回ることになった。

 ただ、依然として米価が下がる可能性は十分ある。足元の民間在庫は219万㌧(今年6月末時点)と高水準で、米価安定につながる適正水準(180万㌧)を大幅に超過しているためだ。さらに、作柄次第では21年産米の生産量見通しは大きく上振れし、価格が急落しそうだ。

 同省は昨年11月、米価下落を回避するには、21年産米の生産量を前年比30万㌧減の693万㌧に抑制する必要があるとの目安を示した。作付面積で考えると、6・7万㌶減の130万㌶に設定する計算だ。

 政府・与党は、21年度当初予算と20年度第3次補正予算で獲得した計3400億円を投じ、主食用米から飼料用米への転換を強力に後押し。多くの農家が呼びかけに応じ、宮城県のコメ作付面積に匹敵する6・5万㌶の削減につながった。

 ただ、天候が良好ならば、生産量は720万㌧に達する可能性もささやかれている。出来秋となれば、転作努力は「相殺され振り出し」(自民党農林族議員)に戻る。

 仮に豊作とならず、生産量が690万㌧前後に収まったとしても、来年6月末の民間在庫は210万㌧に達する。このため、22年産米については21年産米よりも生産量を大幅に抑えることが必須。今秋に衆院選を控える中、コメ施策の関連予算の膨張は避けられない。

 農水省は22年度の概算要求で、転作支援の交付金として3320億円を求めた。与党議員は「今後編成が想定される補正予算でさらに上積みを目指す」と話している。

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