2021-09-30

【経済産業省】ウイグル問題を念頭に、繊維産業に人権指針策定求める

写真はイメージ

経済産業省は、アパレルなど繊維産業の持続可能性に関する報告書をまとめた。製造・流通などのサプライチェーン(供給網)で強制労働や不当な低賃金などの人権侵害がないか、繊維企業が確認するガイドライン(指針)を業界団体に策定するよう提言したことが柱。

 経産省は「個別の事案を踏まえたものではない」と説明しているものの、中国・新疆ウイグル自治区産の「新疆綿」をめぐる人権問題など、労働環境への関心が世界的に高まっていることを念頭に置いた。

 経産省の「繊維産業のサステナビリティに関する検討会」がまとめた報告書は、アパレルをはじめとする繊維関連の各企業が、サプライチェーン上で強制労働や不当な低賃金などの人権侵害がないかを確認するためのガイドライン(指針)を、業界団体の日本繊維産業連盟が主導して策定するよう求めた。

 日本繊維産業連盟は、経産省の助言を受けながら、国際労働機関(ILO)と連携し、1年後をめどにガイドラインを取りまとめる予定だ。報告書ではこのほか、繊維企業の経営層にジェンダー平等の重要性を理解してもらうための官民ラウンドテーブルの設置、デジタル技術を活用した適量生産・適量供給、製品の長寿命化や省資源化に向けた指針の策定なども要求している。

 新疆綿をめぐっては、製品への使用を続けている企業に対し、国際社会からの批判が強まっている。5月には、ファーストリテイリング傘下のユニクロ製シャツが米国で輸入を差し止められたことが判明。ウイグル族を支援するフランスのNGOは、少数民族の強制労働で恩恵を受けているとして、ユニクロの仏法人や「ZARA」を運営するスペインのインディテックスなど4社を告発。仏司法当局も、人道に対する罪を隠匿した疑いで捜査を開始した。

 ユニクロや良品計画などは使用を継続しているものの、ミズノやグンゼなど、使用を中止する企業も増えている。

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