2021-09-27

プロジェクトごとに外部戦力を調達 【サーキュレーション】の“プロ人材”サービス戦略

久保田雅俊・サーキュレーション社長

コロナ禍を受けて自社のビジネスモデルの変革やデジタル化などを進める企業は多い。だが、それを実行する専門人材がいないのも事実。そんなニーズに応える企業がある。7月27日に東証マザーズに上場したサーキュレーションだ。同社は企業向けに特定の業務に精通したプロ人材のシェアリングサービスを提供する。プロ人材を複数の企業で共有する同社の新たな人材サービスとは。

プロ人材を複数企業でシェア

 トヨタグループのジェイテクト。ステアリング、自動車用駆動部品、軸受などを製造する同社が新規事業を始めた。2020年から始めた大手企業や研究機関などと中小の加工業者、町工場などのサプライヤーを「マッチング」させるサービスだ。

 実はこの新規事業を始めるに当たり同社は課題に直面していた。社内でデジタルの知見のある人材が少ない上に、業務過多で次のステップへの移行にも時間がかかっていたからだ。ビジネス目線でプロダクト開発ができているかどうかも分からない中で、同社が注目したのがサーキュレーションの展開するプロ人材のシェアリングだった。

 サーキュレーション社長の久保田雅俊氏は語る。「新規事業を始めようとしても、ゼロからプロ人材を採用することは大手企業でも難しい。自社でプロ人材を育成しようとしても時間がかかる。そうであるならば、日本全国にいる各分野のプロ人材の経験や知見を複数の企業でシェアし、あらゆる経営課題を解決した方が生産性は上がる」

 2014年に久保田氏が創業したサーキュレーションは企業向けに特定の業務に精通したプロ人材のシェアリングサービスを提供する。ただ、単なるシェアリングではない。企業の経営課題の解決に向けたプロ人材に特化している。また、同社が手掛けるのは「事業改革コンサルティング」だ。事業の成長や改革のために「経験」「知見」を求めている企業と、そのニーズを満たすプロ人材を結び付ける。

 同社には様々な分野のプロ人材が登録。その数は1万7千人以上に上る。フリーランスはもちろん、副業や兼業を許された大手企業やベンチャー企業の部長や取締役、CTO(最高技術責任者)、さらには経営者もいる。例えば、大手企業の人事や財務、M&A、海外進出、広報・IRのスペシャリストなどだ。

 一方で、企業からは「新規事業を開発したい」「ポスト・コロナを見据えてデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めたい」「コストを削減したい」「海外展開を支援して欲しい」といった要望が次々と舞い込む。

 久保田氏は「海外ではプロ人材が3社を掛け持ちする動きも現れ始めている。当社は日本でもプロ人材が活躍できるようにするための間口を広げると共に、職能を絞ったプロジェクト単位での課題を解決する。その結果、日本企業が世界で戦える生産性を誇れるようにする」と語る。

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