2021-09-19

【株価はどう動く?菅下清廣氏に聞く】今後はデジタル関連、バイオメディカル関連の企業を注目すべき局面に

菅下清廣・スガシタパートナーズ社長



再び「日本の時代」がやってくる?


 ─ 大きな時代の流れの中で、日本の今後をどう見ますか。

 菅下 私は日本には大いにチャンスがあると見ています。80年代まで日本経済は好調で、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われましたが、これには米ソ冷戦の中で「漁夫の利」を得たという背景もあります。それがなくなったデタントの時代、新しい時代に日本は対応できず、バブル崩壊につながった。

 一方、米中対立の中で日本は日米同盟に基づいてアメリカとの関係はいいですし、中国とも歴史的に様々な背景はあるものの、多くの期間で良好な関係を築いてきました。先進国の中で唯一、両国と対話ができ、ビジネスができる国が日本です。再び日本の時代がやってきてもおかしくありません。

 ─ その理由は?

 菅下 前回のジャパン・アズ・ナンバーワンの時代は、ハードウェア、モノづくりの時代でしたから、日本は自動車、テレビなどの大量生産、技術革新で成功しました。

 今はハードウェアの時代が終わり、ソフトウェアの時代になっていますから、人間の精神や心情に訴えかける分野で日本が活躍する可能性があります。

 日本でも9月にデジタル庁が発足します。この後、菅政権が続投してもしなくても(9月3日に退陣表明)、政権を担った人達は日本が生き残るためにもデジタル革命を起こさざるを得ません。

 少子高齢化を乗り越えるためにも、これまで1000人でやっていたことを100人、10人でできるようにする必要がありますし、効率化だけでなくイノベーションを起こすことが日本の命題です。それができなければ、日本は先進国に残ることができません。

 ─ 中国経済の今後をどう見ていますか。

 菅下 中国は18年の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で国家主席の年限を廃止しましたが、ここが習近平氏のピークではないかと見ています。

 今年、中国はアリババグループなどのIT企業を規制していますが、「中国という株」は今年を持って天井を付けたと言っていいと思います。

 ─ 日本、アメリカにとって中国は最大の貿易相手国ですが、そこが沈むと陰に陽に影響が出てきますね。

 菅下 ただ、中国はゆっくり沈んでいくと見ています。時間をかけて、世界は中国相手のビジネスを見直していくことになるでしょう。その代わりに日本などアジアの先進国に世界のマネーが向かうことになります。

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