2021-09-17

鹿島社長の決意「開発から施工、維持管理まで、建物の一生に関わる多機能な会社を目指す」

天野裕正・鹿島社長

米国、アジアでの成長を目指して


 ─ コロナ禍など環境変化の激しい時期の社長就任となりましたが、まずコロナ禍の事業への影響は?

 天野 当社の国内での手持ち工事は順調に進んでいますし、コロナによって工事が中断している現場もありませんから、現時点で社業への影響は小さいと思います。

 ただ、今後はこれだけヒト・モノが移動しなかったわけですから、いい影響が出るはずがありません。一方、この変化によって活気づいた産業もあるわけですから、斑模様なんだと見ています。

 海外については東南アジアで広範囲に工事が止まっている一方、欧米は堅調です。国として前向きな雰囲気があること、流通関係の仕事が多いことが要因です。特に米国はあれだけの大国で人口がさらに増えており、経済の活力を感じます。

 ─ 鹿島は海外は米国やアジアなど海外に早くから進出していますが、今後どのような戦略で進めますか。

 天野 日本はどうしても人口が減少していきますから、将来の経済規模を考えると海外に力を入れていくことになります。ご指摘のように業界の中では、米国、アジアにかなり早く進出しており、今ではそれなりの規模の事業を築いています。

 その歴史の中で人脈を構築してきた他、米国で施工会社、デベロッパーを買収し、開発から施工まで手掛けることができる体制となっています。

 また、現地に駐在をし、密着した形での経営を目指していますから、単に企業を買収して、その売り上げをカウントするのではなく、実質的な経営を意識しているんです。

 過去の歴史を振り返ると、うまくいかなかったこともありますから、その経験、教訓を踏まえて、今はかなり安定した経営になっていると思います。足元では主に物流倉庫や住宅関係の工事を受注しています。

 ─ アジア事業の今後をどう見ていますか。

 天野 発展のポテンシャルが非常に高いですし、日本との親和性が高い。今、アジアではシンガポールに拠点を置いていますが、日本よりも規制が少ないですし、金融・経済情報が集まる場所です。

 最近ではITなど先端技術の情報、スタートアップの情報が集まる場所でもあります。今後は新社屋の建設など、さらに充実した拠点にしたいと考えています。

 ─ 海外事業の売上高比率はどうなっていますか。

 天野 2020年度で25・7%です。これをまずは3分の1に持っていき、長期には5割を目指したいと思っています。

 ─ 人員の確保についても多国籍展開になりますか。

 天野 そうですね。新入社員であれば国内で5年くらい経験して鹿島の品質を学んでもらった上で海外に行き、マネジメントを経験してもらうといった選択肢もある。

 その上で、国内で次のステップに行くのか、そのまま海外で事業拡大に貢献してもらうかということを検討していく。

 今は、国内でステップアップするにしても、やはり海外経験は必要だと思いますから、語学力も大事になります。さらに海外の方々が日本に来て仕事をすることも増えてくるでしょう。

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