2021-09-08

組織刷新で出直せるか?みずほ銀行のシステムのあり方を問う

坂井辰史・みずほフィナンシャルグループ社長

バックアップが機能せず…


 みずほ銀行が8月下旬に2営業日続けてシステム障害を起こした。2月、3月に4回のシステム障害を発生させたみずほは6月、再発防止策をまとめたばかり。それだけに頭取の藤原弘治氏や、親会社のみずほフィナンシャルグループ社長の坂井辰史氏ら経営陣の苦悩は深い。

 しかも今回のトラブルはバックアップが全く機能せず、「はっきりした原因も分からない」というから深刻だ。他のメガバンクでは予備のシステムも同時併行で稼働させ、障害時に自動で切り替わる仕組みにしている。みずほの場合、異常時に手動での切り替えが必要だったといい、金融界では「システム設計そのものに欠陥があるのではないか」(大手行幹部)と驚きの声が上がっている。

 新システム「MINORI」は2002年と11年の2度にわたる大規模システム障害の反省から4500億円超を投じて19年に導入された。だが、開発を富士通、日立製作所、日本IBMという母体3行の有力取引先ベンダーと、NTTデータの4社に委託した結果、「システム設計が必要以上に複雑になった」(有力OB)。

 また、経営合理化の一環でMINORI稼働後にはシステム部門の人員が削減されている。

 さらに、みずほFGが導入したカンパニー制の課題も指摘される。カンパニー長に権限が集中する一方、銀行頭取など傘下会社トップは単なる執行役的な地位となっており、問題が発生した際の責任の所在があいまい。金融庁が「みずほFGのガバナンスの問題」(監督局筋)と捉えているのはそのためだ。

 ただ、過去にも業務改善命令を発動されながら、みずほが同じ失敗を繰り返しているのも事実で、批判は金融庁にも及ぶ。

 システム障害の原因究明に当たった第三者委員会は6月にまとめた報告書でみずほの現状について「横の連携、縦の連携のいずれもが十分に機能せず、統括すべき司令塔が本来の役割を果たせていない」と指弾した。

 システム障害は「運が悪かった」では済まされない。組織を立て直し、失った顧客の信頼を取り戻せるか。みずほ経営陣とともに金融庁にも厳しい目が向けられている。

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