昨日までの体験の延長線上ではダメ
「過去からの積み上げで、モノの発想をしているのはダメ。要は、10年後にどうしたいのか、20年後はどうしたいか、という考えで仕事をしていかないと」
自分たちの経営のやり方を変革もせず、昨日までの体験の延長線上で思考していては、物事の本質を見極められないと木村は強調する。
「今日、ある取引先の社長と話をしていたら、『うちは当面インバウンドはゼロで考えるようにしています』と言うだけで、次の手がない。何を言っているんやと」
木村は、こうした取引先社長の物言いに反撥を覚えたという。
もちろん、コロナ危機で訪日観光客(インバウンド)は、コロナ危機が始まった2020年初めから激減。ほぼ皆無となり、ホテル業界や百貨店、化粧品・雑貨業界に深刻な打撃を与えていることは木村も承知している。
ただ、リアルのインバウンドがゼロになったとしても、インターネット販売やその他の手法で、海外需要を取り込んでいかないと、既存の国内需要頼みでは事業そのものが尻つぼみになるということ。
そうした構造変化に、各企業はどう対応していくのか? という木村の懸念。
「日本人の経済力は落ちてきているし、お金持ちも相対的に減っている。少子化もしばらく続いていくことを考えたら、アジアの富裕層をターゲットにするのは当然ですよ」