2021-08-26

【政界】解散の大義名分、経済再生も見えず、菅の足元も不穏に

イラスト・山田紳



ピンチがチャンスにならず

 陰鬱な雰囲気の中、ピンチをチャンスにとばかりにサプライチェーンの見直しの機運も高まった。感染拡大当初、海外に多くを依存していたマスクや医療資材が不足し、自動車などの部品の調達も滞る事態となった。

 日本でも、コロナを機にかつて世界トップだった半導体の生産能力を高めようとの動きが出ている。コロナ禍前の19年時点で日本のシェアは16%にとどまり、台湾や韓国の後塵を拝していた。中国や米国は世界中で不足が指摘されている半導体の生産能力を向上させる計画を発表している。

 日本政府も経済安全保障の観点も含め3月に「半導体・デジタル産業戦略検討会議」を立ち上げ、自民党では党税制会長の甘利明が安倍晋三、麻生太郎の両元首相らに呼びかけ、5月に「半導体戦略推進議員連盟」を設立。政府に予算拡大などを求めている。

 だが、こうした動きも感染拡大であまり目立たず、依然、海外生産に力点を置く企業が国内に拠点を移す大きな流れまでには至っていない。

 もはやワクチン接種の促進以外に打つ手がないかのような菅の足元は非常に危うい情勢にもなってきた。

 今月2日、政府はコロナ感染者の入院をめぐり新たな方針を決定した。入院は重症者や重症化リスクが高い患者を優先し、中等症の患者は原則自宅での療養とする内容だ。

 感染者が急増した東京都を念頭に、医療体制の逼迫を避けるために事前に対応を確認しただけともいえるが、これが全国一律で中等症患者を「自宅放置」すると受け止められた。逼迫を防ぐための必要性を説明すれば回避できたであろう「誤解」だった。

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