2021-08-26

【外務省】秋の衆院選を前に首相の外遊日程定まらず

外務省が秋に迫る衆院選と自民党総裁選の行方に神経をとがらせている。9月から菅義偉首相の外遊が必要となる国際会議が目白押しで続くが、菅内閣の支持率低迷もあって選挙日程すら不透明な情勢が続き、出席の可否など、基本的な調整すら行うことができないからだ。

 現状で、最も早い外遊日程となりそうなのが9月。菅首相は米国のバイデン大統領から、日米豪印4カ国の協力枠組み「Quad(クアッド)」首脳が対面で集まる初の会議を開くとして、ワシントンに招待されている。

 この時期はニューヨークで国連総会が開かれており、安倍晋三前首相もほぼ毎年出席していた。バイデン氏はこのタイミングに合わせて4カ国の首脳が顔を合わせ、覇権主義的な動きを強める中国への対抗方針を話し合う青写真を描いている。

 さらに10月には、イタリアで主要20カ国・地域(G20)首脳会議への出席も待っている。バイデン氏はこの時に中国の習近平国家主席と首脳会談を行う方向で、菅首相らとの会談は、前月に腹合わせを済ます狙いも込めている。

 外務省は、一連の外遊を菅首相が五輪・パラリンピックの開催実績をアピールし、対中包囲網づくりで国際協調を図る場として活用しようと考えている。

しかし、次期衆院選は「現行法制の規定を極限まで活用し、菅内閣の支持率が下げ止まるまで先送りした方がいい」(自民幹部)といった声もあり、現職議員が任期満了となる10月21日までに選挙が行われるかすら不透明で、外遊の具体的な日程は検討すらできない状態が続く。

 外務省幹部は「米国から督促されているが、現状では9月のクアッドすら『参加できる』と返事ができない」と頭を抱える。「各国は、菅政権の足元の弱さを見透かすような動きも見え始めている」(別の幹部)という見方もあり、焦りは募る一方だ。

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