2021-08-25

商社だからできることとは何か? 『三菱商事』に見る水素戦略

ケミカルタンカーによる水素の海上輸送(イメージ)



オランダやシンガポールで知見を積み上げていく

 経済産業省は7月に、政府が定める中長期のエネルギー政策「エネルギー基本計画」の素案を公表。2030年度に再生可能エネルギーが36~38%(従来計画では22~24%)、原子力は変わらず20~22%、水素・アンモニアが初めて記され1%、残りの火力が41%(従来計画では56%)という構成だ。

 その意味でも注目される水素だが、この他、三菱商事は2020年に、シンガポールの民間企業5社と共に、シンガポール政府が目指す、持続可能な水素経済の実現に向けた相互協力について覚書を締結。都市ガスに水素を混入して使ったり、港湾の作業車にFCVを導入したりしている。

 また、オランダでも同国のロッテルダム港湾公社や千代田化工など4社で覚書を締結。水素輸入にあたってのサプライチェーン構築に乗り出す考えだ。

 藤本氏は「LNGなどで当社が長年培ってきたビジネスモデルを、いかに水素関連ビジネスに応用していくか。例えば、千代田化工の触媒技術を活用しながら、どこからガスを買うとか、設備はどういうもので、ファイナンスはどう……というビジネス全体のスキームをつくりあげていくことが当社の役割。アジアで一番水素に関心あるであろうシンガポールと、欧州で一番進んでいるオランダで知見を積み上げていきたい」と語る。

 水素社会の実現に向けては、まだまだ課題が多いのも事実だが、総合商社ならではの知恵とノウハウを生かして水素社会を実現できるか。今こそ、三菱商事の総合力が試されている。

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