2021-08-06

損保ジャパンが進める次世代システム戦略 34年ぶりの刷新

SOMPOホールディングス本社(東京・新宿区)



 近年は単独の開発だけでなく、他社との連携による「オープンイノベーション」の重要性が増しているが、このコンセプトと、API(Application Programming Interface=ソフトウェアやアプリケーションなどの一部を外部に公開することで、第三者が開発したソフトウェアと機能を共有できるようにできる仕組み)連携の基盤を用意したことで、他社との連携をより進めやすくしている。

 今回の開発費用は公表していないが、最終的な総額は2000億円規模と見られている。国内屈指の大規模開発だけに苦労も伴った。前述の通り「ビッグバン開発」だったことで、システムの仕様欠陥なども発生。「身近な人達からも『ビッグバン開発はうまくいかないんじゃないか? 』と言われるほどだった」(木下氏)

 ただ、多くの開発では最終段階に来て不具合をチェックするのが一般的だが、そこで修正に入るために時間もコストもかかっていた。それを今回は米コントラストセキュリティ社の技術を導入し、開発段階で脆弱性やリスクを診断したことで、工程を削減することにつながった。

 今回は第1期開発で、今後は23年度までの第2期で自動車保険、21年4月から開発が始まった第3期で火災保険を新システムに移管していく。グループ内では「式年遷宮」とも呼ばれ、「我々の世代で成功させ、次世代に引き継いでいく」(木下氏)という思いで開発。

 システム刷新は単に技術の問題ではなく経営に直結する。グループCEOの櫻田謙悟氏は開発の時期に「VUCA」(Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字をつなぎ合わせた造語)という言葉を使って、激動の時代に対応することの必要性を社内に訴えてきた。

 デジタル対応の土台は手に入れた。それに魂を入れるのは損保ジャパンで働く「人」である。

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