2021-07-29

【アサヒグループホールディングス】勝木敦志社長「欧州や豪州ではプレミアム化が進む!」



海外ではプレミアム化が進む

 ── その原体験があるのですね。最後に、今後のグローバル展開を聞かせてください。

 勝木 当社の基本方針はスーパードライをはじめ、プレミアムブランドを世界の方々に楽しんでいただき、収益をグローバルで上げていくというものです。このプレミアム戦略には今でも自信を持っています。去年、欧州で業務用が壊滅的な状態になり、家庭用に需要がシフトしましたが、当社の家庭用の売上金額は16%アップしました。

 その内訳は販売数量が9%アップで、単価が7%アップです。これは単に我々が値上げしたのではなく、欧州全体でプレミアム化が進み、市場がスタンダードからプレミアム、そしてスーパープレミアムへとランクアップしていることが背景にあります。

 中でも家庭用におけるプレミアム化については、我々も想定していなかったので勇気を得ました。今後もプレミアム化が更に進んでいくと思っています。

 ── 価格が高くても、本物を求める傾向が強いのですね。

 勝木 はい。確実にそういう消費傾向が欧州では高まっていると思います。これは豪州でもそうです。また、このプレミアム化に寄与するもう1つの流れがあります。それがノンアルコールビールです。これはプレミアム価格帯でも展開できています。ノンアルの市場は欧州ではビール全体の6%くらいですが、30年には20%くらいになるだろうと予測を立てています。

 ── その中で日本の立ち位置はどのようになりますか。

 勝木 日本は非常に苦労しています。家庭用についても、お花見や花火大会、お祭りといったハレの日需要が大きな影響を受けています。当社のスーパードライは缶製品の8%くらいがハレの日需要です。

 実は去年、スーパードライの缶は5%減りました。ハレの日需要が直接ダメージになったということです。したがって、コロナ禍が終息していかないと、なかなか回復は難しいのかなというのが正直なところです。

 しかしながら4月に発売した「生ジョッキ缶」は予想を大きく上回る販売となりました。消費者の生ビールに対する渇望は凄く強いと感じます。それと生ジョッキ缶はSNSなどを使うデジタルネーティブ世代と言われる20代や30代の方々、女性にも非常に好評でした。SNSで「スーパードライっておいしいんだね」といった反応をいただいたのは狙い通りですね(笑)。

 スーパードライのユーザーは50代と60 代がメインで、20代や30代の方にはなかなか認知されていませんでした。しかし、生ジョッキ缶を手に取った若い方々にスーパードライが認知されたということは非常にありがたいことだと思っています。

日本アクセスの〝情報卸〟構想 「食品だけでなく情報も卸す!」

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