2021-08-03

米テキサス州オースティンから指揮 【リクルートHD 新社長】出木場久征の世界の何十億人に利用してもらう人材サービス戦略

リクルートホールディングス新社長 出木場 久征



今後、10年間で【自動化】の勝負は決まる

 そこで出木場氏は、AI活用などによる『自動化』が生産性を上げていく上で大事なキーワードになると強調。
「やはりデータでつながっていく、オンラインでつながっていくというところが出来てくれば、さらに生産性を上げられるのだと思います」と出木場氏は語り、次のように続ける。「いわゆる機械学習とか、AIとか、マシンラーニングとかいわれるものは、基本的にまず、トレーニングするためのデータが要ります。だからといって、データがゴールではなくて、どういうデータが集まってくると、この業務の自動化はどうなるのかという問題意識ですね。(この社会の変化について)100年後の歴史家はこの10年を境に、この前は人が車を運転していたと。この後は人が運転しなくなったと絶対に言うに決まっていると思います」

 今日(2021年)から向こう10年間のタイムスパンで車の運転の『自動化』が成し遂げられる──という見通しを立て、出木場氏はそうした時代の流れの中で、自分たちのミッションを追求したいとする。

鹿児島の風土で育って……

「僕は鹿児島出身ですから、もう東京より、こちら(オースティン)がいいなと。アメリカに渡った時、娘2人は6歳と4歳でした。今はハイスクールとミドル、高校と中学生になっています。地元の公立の高校、中学校に通っていて、日本語はあまりしゃべれない。なかなか日本人として生きていくには不自由があると思います。先輩に対して敬語を使えとか言っても、英語文化圏で育って、もう全くこれができないわけですよ(笑)」

 2012年米テキサス州オースティンに赴任し、生活を始めて約10年。娘2人も米国流の生活になじんでしまったという。
「薩摩の親父としては、気にかかる時があり、『お前、何とかしろよ』と言ったりすると『I
don’t know』と返されて、ちょっと腹が立つということですね(笑)。でも、英語だとその言い方しかできない。誰に対しても、『知らない』とか『I don’t know』という言い方なので、『お前、親に何て言い方をするんだ』と言っても、『じゃあ何て言えばいいの』と切り返されて終わりです」

 出木場氏は鹿児島県大口市(現伊佐市)の出身。『西郷と大久保』などの著書で知られる作家・海音寺潮五郎の故郷でもある。父は薩摩瓦の製造を手掛け、今、実家は弟が継ぐ。

 小学校までは大口にいて、中学・高校は県都・鹿児島市の私立志學館に通った。6年間、寮に入っての生活。そして、早稲田大学商学部に進み、1999年卒業し、リクルートに入社。
 鹿児島には、『薩摩隼人』以来の、『泣こよかひっ飛べ』という子供のしつけ方が今に伝わる。
 子供が例えば、川の前に来て、前に進めず、泣いたりすると、年長者が一喝し、『泣いているより、思い切って、川を飛び越えよ』と諭す。そして、跳んでみると、案外うまくいくものである。そうしたことを幼少期に周囲から叩き込まれる。

 そういう風土で育ったせいか、出木場氏も、10年近く前、米テキサス行きを命じられた時は、この『泣こよかひっ飛べ』の心境で臨んだという。

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本誌主幹 村田博文

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